関西の生まれなので、広島風お好み焼きとは言わないように、と散々言われてこちらに来たが、どちらかというと今は違う脅威に怯えている。
住んだことのない人はわからないだろうが、広島のテレビはチャンネル数が少ないのに、ほぼすべての局でカープ情報を提供し、カープ番組も多く、街ブラ番組でも歩けばすなわちカープになるし、NHKだって「プロ野球の結果です」ではなく、「現在のカープ情報です」と言って試合の経過を報告する。昼はほとんどカープの話しかしないので、テレビを見ることがめっきり減った。他のチームの応援は断固許さない雰囲気である。
職場の人も、ほぼ全員がカープを熱心に応援していて、ある人はチケットを買うために仕事を休み、またある人は、オープン戦のチケットが取れなかったので、雰囲気だけでも味わいに球場の外で過ごした、と言っている。有給取得が非常に嫌がられる職場だけに、信じられない。カープファンであれば何をしても許されるのだろうか?おそらく、こんな職場が広島中にたくさんあるのだろう。
とにかくカープファンでなければ人でない、とでも言わんばかりの雰囲気に、毎日びびっている。そうやってカープファン以外を村八分にして、カープファンになれたものだけが残っていく。カープで成り立ってきた広島が、心底怖い。
関西の生まれで阪神ファンに揉まれて育ったが、こんなことはなかった。しがないおっちゃん達が弱い阪神を応援することで、日々活力をもらっていた。阪神ファンではないけど巨人が嫌いなんや、という人もいた。私は小さい頃巨人ファンであったけど、共生していた。関東圏でスタジアムのある地域にも住んでいたが、球場帰りの汗臭いファンが騒ぐだけで、大人しいものであった。