週末である。
日頃の疲れを癒し労うために皆飲み屋を目指す。心なしか皆ウキウキしている。それもそのはず今日から連休だ。
充実した社会人は日頃の鬱憤を晴らすため、またナンパを目論んで飲屋街へ繰り出す。
そんな息抜きの瞬間に異質な一人飲みの男がHUBにいた。混んでいたので私はスタンディングで酒を飲んでいた。ちょうど男が見える位置である。
男はナンパするでもなくただ席で黙々と飲んでいた。
かく言う私もそうなのでその男に注目していた。男は酔うために来たのか?piano manの歌詞よろしく皆で酒を楽しむつもりはなさそうだ。
しばらく男に注目していた。冴えない風貌。メガネ、髪は後退しつつあり30代といったところか。私は20代半ばで一人で飲んでいて
将来の自分の姿を見ているようで親近感があったのかもしれない。又は更に若いのに同じことをしていることへの諦観か。
すると男はいつの間にか去っていった。ディティールを知るべくもない。とりあえず私は立っているのが辛かったのでそこに目ざとく居座った。端席なのであたりが見える。
皆楽しそうだ。人と飲むとこんなにも楽しいのだな、私にも経験があるので思い出す。特に男は見知らぬ女に声をかける。かけ続ける。
繁華街のHUBはそう言う宿命にある。そういう輪にも入れず黙々とジントニックを嗜む。私は何をしているのか。世間の同年代は青春を謳歌しているか
それとも遊び疲れて成熟を迎えつつある。一体どうしてこんな違いが生まれたのか。と嘆きつつもある種の相対化に自分の中で落ち着きつつある。
数年前までは確実に、心からそう嘆いてたであろう。だが今はそれすら許さぬ。全人的な感情の慟哭さえできなくなってしまった。ヒトとしてまた人として早くも死につつある
私に処方箋があるのだろうか。