僕はお金が嫌いだ。
必死に働いて稼いでも、お金はあの世には持っていけない。棺桶に札束を詰めて燃やしてくれる家族なんていない。
預金通帳に印字された数字を眺めていても何も生まれない。財布の中に紙切れを入れててもかさばるだけ。
だったら、お金を得たら早いうちにモノや体験に換えてしまって、自分が楽しめたり成長できたりする方がいいじゃないか。
人生は短いし、生命は限られている。ダラダラしてる時間がもったいない。1秒でも惜しい。少しでも自分を伸ばしたい。
お金をお金のまま持っておくのは無意味に思う。どうせ貯金しても金利つかないんだし、投資したって一部の人間にむしり取られるだけだし、入ってきた金を別の形に変えるのが一番だろ。
そんな考えで、欲しかったから貯金の7割をはたいてクルマを即金で買った。思い出を残したいと思ったから数十万円のカメラも買った。
どっちも1ヶ月しか続かずに、すぐに飽きて今は全く使ってないけど、後悔はしてない。だって、少なくとも、そのときの「欲しい」という気持ちは満たされたんだ。それで十分だ。
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だけど、人間、いつ死ぬか分からない。もしかしたら、この日記を書いた30秒後に心臓が止まって死んでるかもしれない。
だから、今日も家電量販店で新しいタブレットの箱を手にして帰ってきた。
もう、嫁は何も言わなかった。