2018-07-07

日章旗燃えたぎる血

「今、日本の旗のことを侮辱していたのか。」私はおもむろに席をたち、まったく知らないその男の大きな肩をポンとたたいて静かに訊いた。

経緯はこうである。大きなお腹の妻を連れてカフェ一服していると、6人の様々な国籍の男連中が入ってきた。うち一人が、携帯日章旗を表示して連れに見せ、何か冗談いたことを言い(聞き間違いでなければ「...日本の旗はこういう格好をしているんだ。」という言葉で終わった)、皆が下品に笑った。その後、旭日旗を見せてまたげらげら。詳しい会話の内容は分からなかったが、あの雰囲気だけで十分に礼を失する態度だと思った。

男は私の問いに、「No, no, no...」というばかりで言い訳言葉もでない様子だった。私はもういいだろうと考え、不機嫌そうに相手を一瞬睨んで席に戻った。

意外だったのは、あの会話を耳にした瞬間、体中の血が沸騰するような怒りの感覚に陥ったことだ。日本を去って18年。最終学歴キャリアアメリカの中で収まり、今のビジネス殆どのお客さんは日本以外の会社だ。妻を含めほとんどの友人も日本人でない。日本ニュースも正直他人事になってきて、これは本当に国民意識のない根無し草かなと自分を軽く笑うものだが、こういう事に直面した時、人間というのは自分を含めて分からないものだ。

それから私が幼い頃、父親が曲がったことを目にするたび放っておけず、物を言いに行くシーンを思い出した。私よりも遥かに血気盛んな壮年だったので、相手ヤクザにでも絡まれたようにぎょっとしていたのを今でも思い出す。気をつけて入るが血は争えないものだ。

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