二次創作が元となった著作物の著作権を侵害するかは、実はケースによって異なります。
いろいろな勘違いがあり、議論の前提に混乱が見受けられるので、解説してみます。
まず、もととなった作品の「表現上の本質的な特徴を直接感得」できる場合、二次創作は著作権の1つである翻案権侵害となります。ここで重要なのは、著作権は具体的な表現を保護するものであるため、アイデアレベルで共通のものは、「表現上の本質的な特徴を直接感得」できず、著作権侵害とならないことです。以下、具体例をもとに考察します。
・原作品が絵で、絵が下手、あるいは独特な画風で原作品と似ても似つかない場合
これは悩ましい問題で、学者の間でも議論になっています。個々の事例ごとに判断するしかないと思います。
・原作品が絵で、原作品をデフォルメした絵(ちびキャラなど)を描く場合
デフォルメの程度にもよりますが、多くの場合、キャラクターというアイデアが共通するにすぎず、著作権侵害とならないと考えられます。
原作品の具体的な表現がそのまま使われていない限り、たとえキャラクターの設定や世界観が共通していても、著作権侵害とはなりません。なぜなら、あくまで著作権が表現するのは小説内の具体的表現であり、キャラクターや設定はその基となるアイデアにすぎないからです。
簡単に具体例をあげてみましたが、実際はもっと様々なパターンがあると思います。
まとめると、二次創作は常に著作権侵害となるわけではありません。原作品の「表現上の本質的な特徴を直接感得」できる場合、著作権侵害となります。キャラクターの設定や世界観などはアイデアにすぎず、その部分が共通するからといって著作権侵害となるわけではありません。
・原作品が小説で、それをもとに小説を書く場合 原作品の具体的な表現がそのまま使われていない限り、たとえキャラクターの設定や世界観が共通していても、著作権侵害とはなり...
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