私の会社には寿司がいる。ネタはマグロで握り型、そう珍しくないタイプだ。シャリは少し温かく、サビ抜き。少々慌て者だが穏やかな人柄で、けして女の子にモテるようなタイプではないけれど、人に信頼されるタイプの人物――いや、寿司だった。
寿司が社会進出しはじめたのは、今から十年ほど前のことだった。当時の私はまだ中学生で、友達とのグループチャットでの対応がこの世でもっとも大きな悩みであるような小娘だったが、この事件についてははっきりと記憶に残っている。
「寿司と仕事をするだって? そんなの腹が減って仕方がないじゃないか」
テレビを見ていた父が忌々しげに叫んだのを今でもよく覚えている。
「いいじゃない、あなた。だってナマモノは苦手でしょう? 寿司がいたってお腹が減ったりしないわ」
「そりゃあそうだが、母さん、あれだぞ。俺はサーモンだけは別だ」
テレビに写っているのは炙りサーモンの女性だった。まだ若いらしく鮮やかなオレンジ色の表面はつやつやと輝き、ところどろころに見事な焦げ目がついているのだった。
ああ、美味しそう。私は思わず舌なめずりをした。父と違って私はナマモノだって食べれるし、寿司をほとんど愛しているといってよかった。
一瞬にして現実に引き戻された私は、はいはい、と生返事をしながら慌てて受話器に手をかけた。内藤さんは本社勤務のカンパチである。早稲田大学卒のエリートでプリプリのカンパチだ。相当モテるらしく高飛車な性格で、いつも隣に鉄火巻だの軍艦巻きだのの女の子をはべらせている。
彼、海苔が好きらしですよ、いやらしい。二つ下のイカ握りの後輩が話していたことを思い出す。海苔が好きである、ということと、男性のいやらしさというのが直結せず、私は曖昧に頷いたものだった。
なに考えてこんなの書いたんだか覚えてない あー。。。うんその。。 性欲やないんかな?
寿司ガール面白いよな