それは精神科医が科学的観察の名の下に他者を対象化し、批評し、自分だけはあなたたちと違うのですよという、いわば安全圏に自分を隔離しておいて、医者ー患者という権力関係あるいは上下関係を押し付けてくるからだ。
医者がどれほど自分を貶めて留保しようとも、自然科学の客観性を装って行われるそのようなマウンティングがもはや無邪気といってよいほど無自覚に行われているのを、読者は敏感に察知して、よけいに苛立つことになる。
この関係性とその欺瞞性については、ミシェル・フーコーが『精神医学の権力』という講義で、19世紀の精神医学を例に詳しく分析して批判しているので、興味のある向きは参照してほしい。
「精神医学の権力」講義は、そのタイトルから推測されるとおり、自らを科学と称する精神医学が実は権力のテクノロジーによって徹底して貫かれているということ、そして精神医学的な知が科学的な知とは全く無縁のものであるということを告発しようとするものである。
http://www.meijigakuin.ac.jp/~french/shinkai/pdf%20files/le%20pouvoir%20psychiatrique.pdf
この「医者ー患者」という権力関係が、「社会批評家―批評の対象としての世代グループ」の関係に無邪気に重ね合わされるとき、読者の反応が「何様のつもりだ」というものになるのは、無理もないことと思う。
精神科医の九割以上はただの薬売りだしな 経験上
いくら取り繕ってもナチュラルに偉そうなのはなぜかと