2018-01-15

anond:20180114183033

ブコメリクエスト(?)があったので書いてみた。

http://h.hatena.ne.jp/touch/ueno_neco/227133763971759741

「チャロノーブル、事件だにゃ!」

そう言って黒猫のミミさんがぼくの背中に飛び乗ってきました。いつものことなので、驚きはしません。

「また事件ですか?この牧場事件ばかりよく起きますね」

「悠長におしゃべりしている暇はないんだにゃ!ご主人様のお家に泥棒が入ったにゃ!急ぐんにゃ!」

泥棒ですって!?それは一大事!全速力で飛ばしますよ!」

ぼくは走ります!全力で走ります!ぼくは全力で走ってもそんなにスピードが出ないことを知っています

スピードの出ない馬はいらないという理由で前の牧場を追い出され、拾ってくれたのが今のご主人様です。

そのご主人様がピンチなのです。なにがなんでも恩返しをしなければ!

ご主人様のことを思うと、不思議といつもより力が湧いてきました。

「チャロノーブル!こんなに速く走れたんだにゃ!?しっかりつかまっていないと振り落とされてしまいそうだにゃ!」

大丈夫ですか?ミミさん、少しスピードを落としましょうか?」

「いいや、大丈夫だにゃ。そのまま全速力で急ぐんにゃ!」

ご主人様の家にはあっという間につきました。ぼくは乱れた息を整えます

「チャロノーブル、よくやったにゃ。ここからはあたしに任せて、お前は一時待機にゃ」

そう言うとミミさんは、なーなーと鳴きながら家の戸を引っかき始めました。

すぐに家の戸が開きます。出てきたのは、ご主人様と見知らぬおじさんでした。

この人が泥棒なのでしょうか?やけにご主人様と親しそうに話しているけれど……。

「たしかに見事な走りでした。この馬ならば競走馬としても立派にやっていけるでしょう」

「ええ、手放すのは惜しいですが、この馬は走るために生まれてきたような馬です。心がやさしすぎて競い合うことには向いていないかもと思っていましたが、今日の走りを見て確信しました。この子競走馬として十分にやっていけると。そして、あなたになら安心して任せられます

ご主人様と見知らぬおじさんが話をしています。ぼくは何が何だかからないけれど、ふたりともが嬉しそうな表情をしているので安心しました。

「ごめんにゃ、チャロノーブル。お前のためとはいえ、あたしは嘘をついてしまったにゃ」

「どういうことですか、ミミさん?」

「あの人は泥棒じゃなくて競走馬馬主さんで、優秀な競走馬を探していたんにゃ。あたしはその話を聞いてピンときたんにゃ。チャロノーブル、お前は走ることが大好きだってことを、あたしは誰よりも知っている。お前の才能をこの牧場で埋もれさせておくのは、もったいないにゃ。あの人のもとで思う存分、走っておいで……にゃ」

そう言うミミさんの綺麗な両目は、涙でいっぱいでした。ぼくもそれを見て切ない気持ちになります

ありがとうございます、ミミさん。ぼくは、競走馬になんてならなくてもいいって思っていました。いいえ、それは正確ではないかもしれません。本当は、競走馬になんてなれるはずがないって思っていました。あきらめていたんです。でも、今日全力で、本当の全力で走ってみて思ったんです。ぼくは、もっと走りたい!競走馬として走ってみたい!って……。ミミさんが、気づかせてくれました。ミミさんのおかげです。ぼくは決めました。あのおじさんのところに行きます!」

ぼくが話すのを聞いていたミミさんは寂しそうな表情だけど、うんうんと頷いてくれました。

「でも、ぼくの競走馬としての役目が終わったら、またこ牧場に帰ってきてもいいですか?ぼくにはこの牧場でやりたいことがたくさんあるんです。ミミさんと水飲み場でおしゃべりしたり、芝生でゴロゴロしたり、ちょうちょを追いかけたり……そうそう、ミミさんの持ってくる事件解決しなくちゃいけませんね。ミミさんと一緒にやりたいことがたくさんあるんです。だからお願いです。ぼくが戻ってくるまで、ミミさんもどうかお元気で……」

一頭と一匹がくっついているのを見て、ご主人様と馬主さんは和やかな気持ちになりました。

「本当に仲がいいんですね」

「ええ、本当に仲良しなんです。それに、やさしいんですよ。このふたりは」

記事への反応 -
  • 小説のネタが思いつかない。 なんかいいのないかなー。

    • ブコメでリクエスト(?)があったので書いてみる。 https://anond.hatelabo.jp/20180114183033 「チャロノーブル、事件だにゃ!」 そう言って黒猫のミミさんがぼくの背中に飛び乗ってきました...

    • これの続きを書いてほしい anond:20171230091848

    • まず、時代設定は現代とする。 ジャンルは推理物 舞台はネコカフェ ネコが1匹殺害されていたところから始まる。 はい、ここまで考えたよ。

      • ありがとうございます! ただ、ねこ好きだから小説とはいえ死なれるの辛いな……。 なんかもっとほのぼのした感じか、純文学っぽいのが書きたい。 贅沢言ってごめんね。

    • 寒くてかなわないから、春が早く来そうなの頼む

      • 冬なんて早く終わればいいのに。こたつの中で私は、今シーズン最大の寒波を迎え撃っていた。 外からにゃーにゃ―と声がする。地域猫のトラだ。私はときどき気まぐれのように、餌を...

        • なんとまさか増田で、しかも当日に書いてもらえるとは思わなかった! 良いね、外を歩くときに何か探してみようという気持ちになった ありがとう

        • てめーの地域は虎が歩いてんのかよ!

    • 2020年、宇宙人が攻めてきて人類は滅亡の危機に瀕した。 救うため立ち上がったのは元ヘビー級チャンピオンの露出狂 どう?

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん