ディスクシステムの発売は、カセットを買えない自分には夢のような話だった。
当時数千円が当たり前だったゲームカセットに比べて、500円あれば好きなゲームに書き換えができるというのだ。
しかし、残念ながらディスクシステム本体の価格がとてもじゃないが手の届くものではなかった。
目の前のカセットを取るか、それともカセット数本文を我慢してディスクシステムを買うか。
CMが流れる度に、ブラウン管の前で苦悩する日々が続いていた。
メロディ一つに対して何パターンかのキャッチコピーが入るのだが、そのうちの一つにいつも違和感があった。
それが、「ゆめがおくれる ディスクシステム」というコピーだ。
はじめに聞いたときは、ディスクシステムを手に入れたい一心だったために早く手に入らないと「夢が遅れる」と急かされているのだと思った。
しかし冷静に考えてみればそれは変だ。
当時のファミコンカセットはロムのメガ数の大きさを競う傾向にあった。
だから「2メガをくれる」などメガ数の話と聞き間違えているかもしれないとCMが流れる度に耳をそばだててみたが、そうではなかった。
結局その当時は、「夢ガ(ユメ+メガ)をくれる」という造語か、「夢顔くれる」くらいなのかなと思って解決したつもりになっていた。
それが、ここにきて突然フラッシュバックするかのように思い出された。
岩田氏の訃報やミニファミコン発売のニュースなどを聞いているうちに、自然とそのサウンドロゴを口ずさんでいたのだ。
今になって考えてみてもしっくりくる解釈が思いつかなかった。
そう思って「ゆめがおくれる」でも「夢がおくれる」でも検索を書けてみたがスッキリする答えは見つけることができなかった。
当時、子供たちもそのサウンドロゴを普通に口ずさんでいたが、誰ひとりとしてその意味を疑うものはいなかった。
これが日本語としてもCMのキャッチコピーとしてもおかしいと感じた人はいなかったのだろうか。
当時のことを覚えている人がいたらぜひ話を聞いてみたい。
謎が解けてすっきりしたいものだが。
やーればやるほどディスクシステム! しか覚えてないなあ。