友達になれそうな人がいた。
話合うし境遇が似ていた。賢い人だし、仲良くなれるかなと思った。
でも、その人、仕事でちょっと躓いて鬱になってしまっていた。悩みも聞いたし、解決策も一緒に探した。
けれど、結局適齢期超えて独身だということが、そうやら全て鬱の原因であることがわかった。
結婚しない人もできない人も、その選択は自分で選んでいるものだ。
友達になれそうだったその人は、スタイルも顔もよく今も昔もモテるんだろうなあという感じ。仕事ももちろん高収入だ。
ただし、すごく孤独だった。親も死んでもうおらず、友達もすごく少なく恋人もいない。
過去、恋人は全て相手から好きになってくれて付き合って、いつの間にか離れていく人ばかりだったそうな。
そして誰かを強く愛したこともないのだとか。
だからいつか自分を好きになった人となんとなく結婚するものだと思っていたら、そうはならなかったらしい。
それでも独身を謳歌していれば鬱にはなっていないんだろうけれど、その人は趣味に忙しくしているけれど孤独なことがいつも尾を引いて辛いと言う。
自分に似ている、と言ってくれていたけど、自分が二ヶ月前に結婚してから疎遠になってしまった。
こちらはいつも通り接していたのだけれど、相手にしたら自分と同一視していた相手が結婚してしまいいたたまれなくなったのかもしれない。
いい人だとは思うし魅力的だとも思う。
けれど、鬱で不調な人はたびたび自分と親しい誰かを比較して、自分が劣っていると鬱を悪化させることがある。
別に自分のほうが優れているとは思わないが、その人が欲しかった生涯のパートナーを得てしまった自分は、その人にしてみれば羨望の対象なのかもしれない。
婚活でもすればいいのにと思うが、プライドが許さないらしくその案が却下されたことがある。
その人が鬱から脱却するには誰か大事な人を見つける他ないと思うのだが、いくらハイスペックでもプライドが邪魔をしていたら世話ないのではないだろうか。