君の名は。観てきた。広島の小規模イオンでも客席は7割以上埋まっていた。
鑑賞後感は「すげえ」。泣きはしなかったが鳥肌が立った。シン・ゴジラも「すげえ」って感じだったがこちらも負けず劣らず。
しかし冷静に考えてみると内容は深夜アニメでよくあるセカイ系とかループものものとかいわれるものである。まあ実際は3年間の行き来しかしないのでループものというかは微妙だが(タイムリープもの?)、その系統ということで。ループものは観客に手軽に「なんとなく壮大な印象」を与えるには抜群の素材であるが、ちょっと映画やらアニメやら齧ってる層にとっては「またこれかよ…」と食傷気味の反応をされ兼ねない諸刃の剣でもある。
にも関わらず僕は「すげえもん観た…」と思った。既視感もシラけもなく新鮮な気持ちで熱中できた。僕がなぜそう感じたかをちょっと書く。
まずこの作品の構成要素をざっくりいうと次の3つになると思う。
・恋愛
・入れ替わり
・ループ
僕が「すげえ」と感じるのは「内容が予想を超えてきたとき」だ。だからこの作品をループものだと先入観があった上で観ていたらきっとマイチキンスキンはスタンドしなかっただろう。予想の範疇なんだから。
この点、「君の名は。」は予告の段階では「恋愛」と「入れ替わり」のとこだけをプッシュしていた。実際、僕はこの作品を入れ替わりものだと思って観たし、大多数の観客がそうだったと思う。そして途中で初めて気づく。これはループものだと。ここで僕の中で「内容が予想を超えてくる」わけである。「知ってた」と「気づいた」とでは受ける心理的効果が大違いで、「気づき」は観客に鳥肌を与えるし、急に目の前にループものを持ってこられたことでこっちは先入観なしでノーガードなわけなので「またこれかよ…」とならない。結果、ループものの効果が最大限素直に入ってくるので「俺今ものすごく壮大な物語を観ちゃってる…!」となる。
要するにこの作品はループものだが観客にループものという先入観を抱かせなかったのが上手いと思う。
この点、シンゴジラも予想を超えてきたのがよかった。最初に出てくるどう見てもゴジラじゃない生物によって観客は劇中の公務員と同じ視点になれるのだ。「一体このでっかい魚はなんなんや…!」と。
観客に悟られないように先入観を忍ばせて、それをドガーンと破る。これむちゃくちゃ効果的だなあと。僕もこの手法で小説でも書いてみようか。
「まどマギ」もそうだったなぁ。