それまで仲良しで居られたのに。なんでも相談できる仲だったのに。
僕は、軽い気持ちで二人で食事でもしようと、その女の子に言って頷いてくれていたことを、軽く言ったつもりなのに、
その女の子にとっては、二人で食事をするということは、友達以上の関係が欲しいと思ったんだね。
その子は、年上の相手に遠慮しているのか、はっきりとしたことを言わない人だった。
食事しようよ、近々会おうよ、と書いたメールの最初の返事で僕は気づくべきだったんだよね。彼女は嫌がっていると。
それまで返事は即答だったのに、そのメールの最初の返事はとっても遅くて、どう返したらいいか迷ってると、すぐには会えないという文字が入っていた。
でも以前頷いているから嫌がっているはずないと、いつなら会えるのと聞き返した。そうしたら、仕事やプライベートで忙しくてすぐに休みが取れないと返してきた。
会えないなら、贈り物だけでもさせてよと送ったら、一応返事をくれたけど、それは後から思えば、塩対応のメールだったんだな。
そうやって、どんどんその子の、僕の信頼関係ゲージはどんどん削られていって、
贈り物を送った時点でゲージはゼロになったのか、荷物が届いたという連絡のあと、音信が途絶えた。
でも僕は分からなかったのね。
自分は空気が読めないこと分かってたけど、それは自分の個性だと思ってて、この時もあえて空気読んでなかったんだろうな。
それと、その女の子はどう考えていたかも、思いやることもできなかった。
女の子は。
遠慮してはっきりとしたことを書かないこともある。
思っていることとは違うことを言うこともある。
親しい仲なら、気持ちを分かって欲しいと思って、あえて空気を読ませることがある。
それをわかっていたらなら、最初のメールの時点で引き返せたんだよね。
これまで、空気を読むことなんて、そんなことはどうでもいいと思ってきたけど、初めて考え直すことにしたよ。
だって、僕のことを信じてくれて、いろんなことを相談してくれてた初めての女の子だから。
そんな女の子を裏切ることになっちゃって、自分自身がとっても情けなくて、悔しいから。
これから同じように僕のことを信じてくれる人ができたとき、その人を裏切らないためにね。
僕のこと、信じてくれてたあの子へ。