海を見る人を読んだ。世界のありようを計算で提示可能なハードSFは自分にはちょっと難しかった。技術面からアプローチした作品ならまだ想像しやすいんだけど。
そんなわけだから、時計の中のレンズはよくわかんなかった。天獄と地国に隠されたオチも解説読むまで考えもしなかった。
解説読んでからもほーんって感じで、いままでやったことのない読書スタイルだったから新鮮だった。文章を読み、ストーリーを追うだけじゃなく、考証することも読書の楽しみなんだと思う。
一方で、独裁者の掟とキャッシュは叙述トリックがあったり探偵が出てきたりと、短編ミステリとして親しみやすく面白かった。
時計の中のレンズは世界観の構築が一番の優先事項な上に複雑で、なおかつ微妙な結末を迎えたもんだから、上記二編は素直に良い進められた。
内容に関して言えば、表題作の海を見る人と門も良かった。特に海を見る人は間幕のやりとりを読むと味わい深くなる。絶望や喪失感を乗り越えたような諦観がぐっとくる。
母と子と渦をめぐる冒険は一番良くわかんなかった。生殖に関わる寓話かなと思ってたんだけど、なんか違う気がする。純一郎君はなんかキモいし、お母さんは怖かった。