ハリウッド映画はこの百年間、方法論を磨いて磨いて磨き続けてきた。
人々が感じる「かっこいい」や「おもしろい」の無意識を抽出し言語化しようと試み、クリシェや紋切り表現を歌舞伎レベルの様式美にまで高めた。
そういう蓄積が映画学校や業界へと絶えず還元されつづけ、監督を、脚本家を、俳優を、スタッフを育んだ。
その歴史の結晶が「バカにもわかるけど、わかる人にはもっとわかる映画」だ。
ただなんもなしに観ても爽快感あふれるエンタメ、しかしその裏には深い意義や高度な演出が隠されている、というやつ。
もちろん、すべての映画がそうあるわけではないし、ダメな映画はいくらでもある。
しかし、ハリウッドのトップオブトップは洗練を極めた「みんなのための映画」を量産している。
片方は「バカにしかわからない映画」、もう片方は「分かる人にしかわからない映画」。
前者は浅薄すぎてバカ以上の知性を持った一般の観客には耐え難く、後者は傍からみたら内輪ウケでしかないのでやはり一般の観客の視聴にたえない。
要するに、日本の映画はバカかオタクでないと楽しめないようになってしまっている。
技は盗め とかいう日本の精神性では黒澤明がポンと出てそれ以降は終了ってこったな
というより、人材育成を撮影所内部に頼り切りにしてしまったのと、 そのスタジオ崩壊以後の人材育成システムをついに構築できなかったことが問題。