2016-01-05

ふぇぇうぇぇえぇん……ひっぐ

ふぇぇうぇぇえぇん……ひっぐ……ブクマカお兄ちゃんのバカバカっ」

増田は泣きべそを書いていた。新年早々気合を入れて10本の記事投稿したのだが、トラックバックはおろかブクマひとつもつかない。

承認に飢えていた。承認されれば承認されるほどにその悦楽が大脳に刻み込まれブックマを求めることから逃れられないのだった。

「あたし、がんばったんだょ。ぐーぐる先生が、お顔を真っ赤にして逃げ出すくらいの、こんしんの下ネタ記事を、投稿したのに」

空を見上げた。天上には無数のはてなスターが煌々と輝いていた。手を伸ばしても届かない。雲の上ではブクマ御三家たちがお茶会を開いていた。

増田は地面に落ちているうんこを投げ飛ばすくらいのことしかできなかった。

増田もかつては、はてなブロガーのひとりだった。しかし、PVが伸びない。収益が伸びない。

毎日のようにホッテントリ入りする人気ブロガー収益PV報告やマネタイズ理論を読むたびに、心は嫉妬の炎で燃え上がり、頭はストレスで禿げ上がる。

やがて増田ブログを書くことに疲弊して辟易して、ふらふらと彷徨うようにして、ぬらぬらと血迷うようにして、はてな匿名ダイアリーに辿り着いたのだった。

はてな匿名ダイアリーには、今まで増田を苦しめてきたPV収益はいなかった。

増田自分の書きたいことを書きたいように、思うことを思うままに書き始めた。

すると、ブロガー時代は喉から手が出るほどに渇望し、しかし決して得ることの出来なかった【ブクマ】が、次から次へと増田に集まるようになった。

「やった、ようやくあたしったら、認められるようになったんだわ」

増田は喜んで、今となっては黒歴史はてなブログを全削除した。そして増田プロとして生きてゆくことを決意したのだった。

それが、増田にとっての悲劇の始まりだった。

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