2015-02-04

友達チンポジの話

右とか左とか、妙なワードで盛り上がってるなと思った。

教室を覗き込めば、友人のタカハシ(ばっちり偽名です。ご安心を)とYと、それからタカハシの悪友3人。

「よーッス。何の話してんの?」と軽く手を振れば、タカハシが大笑いしながら「おう、お前は右と左どっちだ?」って訊いてくる。

いや、質問質問でリターンは反則でしょ。と思いながらも、右か左か。考える。利き手の話だろうか?

「……左?」

利き手の話で、いいんだろうか。戸惑いながらも答えると、タカハシ御一行の笑いがだいばくはつ。「左!」「左ですってよ奥様!」「もぉヤダー!」とかお互い肩を叩いて笑い転げてはる。何故オカマ化した。

ともあれ。これは利き手の話じゃないな、絶対

その後は何度尋ねても笑うばっかりで、何のことだかは教えてもらえなかった。

ので、帰り道、方向が一緒のYに電車内で疑問をぶつける。

Y「政治的思想の話をしてたんだよ」

私「セージテキシソー?]

(どうでも良いけど、セージテキシソーを並び替えると「ソーセージ」と「ステーキ」になるよ。)

(嘘だよ。)

Y「知らない? 右翼とか左翼とか」

私「"メロスには政治がわからぬ。"」習いたての太宰が炸裂。

確か「俺は断然右」とか「んー、その時々によるかな……」って言ってましたよね。

「断然右」はわかりますよ、ガッツリ右ってことでしょ。バリバリ右翼。断固として右翼

じゃあ「その時々による」って何!? 「今日左翼な気分かなぁ」とか、そんなフラフラしてていいの!?

そもそも放課後政治的思想について熱く語れちゃう男子高校生って、何それ。怖ッ。

うわードン引き……って顔になってたんだと思う。Yは愉快そうに笑っていた。

私「待って! じゃあ私、さっきので左翼だと思われたってこと!?

Y「そうなるね」

私「うわーッ! メロス政治わかんないのに勝手左翼にされちまったーッ!」

Y「いいんじゃん、王様殴りに行くし」

私「うへぇ……メロス先輩めっちゃ過激ィ……」

一応、聞いておいた方が今後の為に良いかもしれないと思った。セージテキシソーは、きっとそれなりに普段の生活にも絡んでくるんだろうし、友達としては下手に地雷を踏みたくない。

「Yはどっちなの?」

吊り革を掴んで電車に揺られるYは、ちょうど西日に照らされた美しい川を眺めていた。眩しそうに目を細めながら、うっすらと微笑む。

「どっちでもいいんだけどね。じゃあ俺も一緒、左にしとこう」

とても綺麗な横顔を、していた。

翌日。タカハシから「ヨッ、チンポジ左派! 元気にチンポジってるか!」などと史上最低の挨拶を頂戴し、全てを理解した私は怒れること阿修羅の如し。

メロス激怒した。必ず、かの邪智暴虐のYを除かなければならぬと決意した。

 メロスにはチンポジがわからぬ。メロスは、普通女子高生である。口笛を吹き、友と遊んで暮して来た。

 けれどもセクハラに対しては、人一倍に敏感であった。」

「俺"も"今日は左にしてるよ」などと爽やかな笑顔で参戦してくるセリヌンティウス(Y)の頬を、メロスは腕に唸りをつけて殴った。

君が! 「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ」と言うまで! 殴るのを! やめない!!

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