今の彼女は納豆をパックそのままじゃなくきちんと器に盛って、しかも切ったネギとかオクラとかを乗せた状態で食卓に出してくれる。
人によってはまったくどうってこともない話なんだろうけど、育ちの問題なのか、初めてそうやって出された時はなんか凄く感動した。
それを自分がぐるぐるかき混ぜて二人で分けて食べた時にはさらに一層感動した。
この感情はもれなく向こうに伝わって、こちらの妙なテンションに分かりやすく彼女は気持ち悪げな顔をしたけれど、それでも自分は上機嫌なままでいられた。
今の彼女とこの先ずっと付き合うことには多分ならない気がするんだけど、この衝撃というか感覚はまず忘れないだろうなと思う。
まず今まで納豆に対してそこまで真摯に接してこなかったので、例えば卵入れるとかなめ茸入れるとか、知ってはいたけどそう改まってやる機会もなくて。
コメントにもあるように一人暮らしで食器を洗い場に放置しがちだったし、だから今まで自分一人の時はパックのまま混ぜてなるべく茶碗を汚さないようにご飯にかけて食べてた。
でも、一度彼女にやってもらったようにちゃんとした器に入れて大根おろしなりを入れてよく混ぜて食べたら、これなら洗い物の手間気にならないかなって感じるくらいに口新しいというか、美味しかったわけで。
彼女がわざわざ一手間かけてくれた(そうでもない?)ってところに心動いた部分もあるんだけど、意外と近いところに新鮮な感覚って残ってるんだなっていうのにも重ねて感動したのかなと今ちょっと思う。
彼女とこれから付き合っていけるかの話は、今までの自分の薄い経験からくる変な勘というか、このままの距離感で行くと半年持たずに向こうから別れを切りだされそうな予感がするなあってなんとなく。
結構付き合い始めの早い段階からずれみたいなのを感じる瞬間が何度かあって、今はどことなくこちらのやることなすことに向こうが合わせてくれてるような状況で。
頑張ってみたけど趣味嗜好、例えば向こうの好きなオペラとかには正直あんまり興味が持てなくて。これこれこういうキャリアを積みたいって話に、同意より上の価値ある解答は出せなくて。
向こうが求めてるだろうことと自分のできることにかなり乖離があるのかなと思ったり。
初対面の時というか、変に最初自分の外面が良かったのが悪かったんだろうと。今思い返せば。
自分の周囲で話に挙がらないだけなのか、お互いの忙しさに差があるとかそういうのでもないかぎり、女の人に任せっきりみたいなのってもう一世代以上前の人たちだけなんじゃないかなと。
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普通は歳をとるごとにこういう日常の細かい美しさみたいなものに感動するようになっていくんだろうけど、 俺は年々こういうのがどうでもよくなっていく。二十歳くらいの頃(もうず...
納豆は割り箸で器にラップかけて食べる 食べた直後にビニールに汚れたもの全部入れて割りばしに輪ゴムかけてグルグル
ナツ