2013-02-03

恋愛恐怖症

恋愛恐怖症という病名があるかどうかはわからないが、僕は今、そういった類の恐怖症にかかっている。

原因は4年前に、好きだった女の子に振られたことだ。

看護師さんとの合コンに参加して、出会ったのが彼女だった。

第一印象は、真面目そうな女の子だなあ。とか、天然そうだなあとかそんなの。

第二印象は、気配りのできるすごくいい子だなあ。優しい女の子だなあ。

とまあ、社会人になって初めての合コンってのもあって、自分のなかで彼女への期待を膨らませた。

食事の席で、出てきたポトフ

「こういう料理を作れる女の子になりたいな」

と僕にしか聞こえないような声でボソッと言った言葉に、僕ははじめて「結婚」を意識してしまった。

彼女手料理想像して、この人と結婚できたらいいなあとか、そういう憧れを抱いた。

帰り際は、「風邪をひかないようにね」と、手を握られ、

手のひらには携帯番号が渡されていた。嬉しかった。

それからの一か月は、有頂天だった。

メールをしたし、電話をしたし、二人で食事もした。彼女はいつでも優しかった。

何度目かの食事で、

「好きなんだ」

と伝えた。

その言葉はあらかじめ用意していたわけでもなく、意を決したわけでもなく、気が付いたら自然と発していた。

喜んでくれるだろうかとか、同じ気持ちになってくれているだろうかとか、そんな不安はなくて。

たとえ振られることになっても、彼女なら優しい言葉で振ってくれるだろうなっていう、安心があった。

「付き合ってほしい」という言葉は、咽喉元まででかかって、すぐに出すのをやめた。

彼女の反応を見ると、それまでの穏やかな表情は消えていた。

今までに見たこともない『恐怖』の表情に変わっていた。

しばらくして、彼女は「怖い」という言葉を漏らした。

その日は、僕も「ごめん」とか「怖がらないで」とか、弁解の言葉にすべてを費やして、彼女を俯かせたまま岐路に着いた。

真面目な彼女からは、食事の後は必ずお礼のメールをくれていたが、その日はなかった。

怖がらせてしまった自分の非を感じて、謝罪のメールを入れようとしたが、言葉が見つからなかった。

結局、自分の好意が相手を怖がらせてしまった以上、これ以上深入りしないのが、大人の判断だよなと、

感情を殺した理屈だけで、番号を消して彼女の接触を断った。

なにより、彼女の恐怖に脅える表情が、あまりにショックで、どうしていいか何もわからなくなっていた。

結局、何もできなかった。

それまであった自信とか、自尊心とか、好きになる気持ちとか、いろんなものが折れた気がした。

心が、音を立てて折れた、その音を僕は聞いた。

それほどに、理想的な彼女が好きだったし、崇拝していた。

怖がられて振られたけれども、それでも彼女のことが好きだった。


4年たった今。

思い出すと胸の痛みあるけれども、とりわけ落ち着いている。ただあれから恋愛はできていない。

最近女性から食事に誘われ、告白された。

相手からの好意を自覚した途端に、動悸がして不安になったためそれからの連絡を断ってしまった。

相手は決して、悪い人ではないし、きっと過去のことがなければ、いい関係を築けたと思う。

こんな僕だって恋愛したいし、人は好きだし、大切にしたいものもある。

だけど体が受け付けない。

おそらく彼女も僕と同じ症状だったのかもしれない。

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