2017-08-01

無職のおれが、今なら勝てると思った話

昔のことを思い出した。

「おいふざけんなよ!」

「うるせぇ、なんだよ」

ふたりの男は目の前で口論を始めた。双方、かなりいかついルックスである

ひとりは一個上の番長的な存在、コウヘイさん。もうひとりは一個上の裏番長的な存在シンゴさん。

ちょうど運悪く、僕は彼らの中間地点にいた。

「お前どけよ!」

僕に向かってコウヘイさんが怒鳴った。すると、

「こいつにどけよって……お前、ふざけんなよ!」

と、目の前にいたシンゴさんは僕をかばってくれた。

続けてシンゴさんは言った。

「お前、こいつに手ぇ出したら許さねえからな」

先輩、僕のことが大好きみたいだ。

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ただひとつ間違いなく言えるのは、今の僕ならこの2人の先輩をボコボコにできるということ。間違いなく勝てる。100%勝てる。1,000%勝てる。

なぜなら、これは僕が小学校の時の話だからだ。

先輩は当時小学5年生で最強と言われていたふたりキュートルックスが魅力の僕は当時4年生。守ってくれたシンゴくんの横で震えていた。

でも今なら間違いなくこの2人に勝てる。

だって、今、36歳だし。

間違いなくワンパンで勝てる。

今でもときどき思い出す。

今の自分あの日、あの時、あの場所に戻れたら、確実に勝てるだろうなってこと。多々あるよね。そういうこと。

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ナカノ先輩は卒業してから髪を染めた。

夏祭りで見かけたナカノ先輩の髪はムラサキ色だった。

まだもんじゃ焼き屋さんもあまりない、ヤンキーだらけの月島の街で、ナカノ先輩の髪はムラサキに輝いて目立っていた。

当時は恐ろしくて近づけなかった。ただ一方的に僕がナカノ先輩を認識していただけで、先輩はきっと僕なんか眼中にないだろう。

でも今なら間違いなく言える。

「お前の髪、おばあちゃんみたいだぜ」って。

だって当時の先輩は13歳、中学1年生。僕は今、36歳だし。

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そんなことを考えながら、誰もいないワンルームYoutubeを見ながらビールを飲んでいる36歳の夏。

ふと外を見ると近所の小学生がセミを追いかけていた。

そんな圧倒的な優越感を揺らがせる出来事があった。

芦田愛菜難関志望校合格」のニュースである

無職はいえ、僕は一応大学卒業した。そんな自分小学生には学力で負けまいと思っていた。本もマンガもいっぱい読んだし、毎日ネット見てるし。でもそんな確固たる自信を揺らいだには芦田愛菜の難関志望校合格ニュースである。つまり芦田愛菜の持つ圧倒的なタスク管理能力課題解決力に敗北を喫した。

考えすぎかもしれないが、さっきまでこの手の中にあったコウヘイくん、シンゴくん、ナカノくんに対する圧倒的勝利が「芦田愛菜」を想うたびに揺らぐ。ひょっとすると学力だけでなく、今の僕はあの頃のコウヘイくんやシンゴくんに出会っても、ガチで戦って負けるかもしれない。

「いや、相手小学5年生だ、負けるわけがない。食べて寝てたおかげで体重も100キロ近くあるし」

小学5年生だからって侮るな。油断したら負けるぞ」

自問自答を繰り返す。

こうしている間にも、同級生はきっと金を稼いだり、子育てをしたりしているのだろう。でも、こんな僕にも彼らと同じく明日は来るし、死ね明日は来ない。

時の流れは残酷である

ってことで、今から外にいる小学生勝負してくるわ。

自分自身を取り戻すために。

その2

https://anond.hatelabo.jp/20170801153106

その3

https://anond.hatelabo.jp/2017080122515

その4

https://anond.hatelabo.jp/20170802121513

記事への反応 -
  • その1 https://anond.hatelabo.jp/20170801120514 勢いで文章を書いて、外に飛び出した(まじで)。雨が降る前のジメっとした蒸し暑さでふと我に返った。小学生を目の前にして、そもそも何を勝負...

  • タイムマシン作らないといけないから100パー勝てないだろ

  • また、昔のことを思い出した。 「ねえ、ケンカしよ!?」 目の前の男に突然言われて一番ありがたくないセリフである。 最寄り駅でバスを降りた瞬間、目の前にいる巨体の不良にだ。 ...

    • 仮定の話ができるようになったね でもそれが小学生のときだったからってのは勝てる理由にはなってない 36歳って事実は小学生の時だからより先に書いた方がいい

  • シンゴもコウヘイも成長してるんだから今のおまえには勝てないよ いやマジで なんで子供時代のシンゴコウヘイと大人のおまえが共存してるって前提で話してるんだろう 変にレトリッ...

  • 昔のことを思い出した。 「ブチぃぃぃ!!!!!」 ものすごい音とともに、ショウタはそれを引き裂いた。 とにかく僕はそれが怖かった。ショウタはGreenDayのビリー・ジョー・アーム...

  • 「ナニシテルノ〜?」 それは衝撃的な出会いだった。 高校1年、当時陸上部だった僕は、近所の公園でスパイクにピンを入れていた。 土のグラウンド用のピンを、明日の試合に備えてタ...

  • 「おぎゃ〜!」 部屋に響き渡る赤ん坊らしき声。その泣き声で目の前の女性は何が起こったのか理解したようだった。 ================= あれはまだ多少なりとも金...

  • コウヘイくん、シンゴくん、ナカノくんも37~38歳じゃん、10~13歳のピュアピュアショタっ子じゃねーよ 同級生に相手されないから一世代下の集まりに顔出して大きい顔してるイタイ奴...

  • なんか苦役列車みたいな世界観だなてめえ

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