武家は、統治のために中国の儒教に倣ったからで、そしてそもそも儒教は社会構造を維持するための宗教だ。日本史の教科書には儒学とか朱子学とかさらっとしか書かれていないけれど、徳川治世は政教一致で、儒教は社会の本質を担う物凄く重要なものだった。
そして例えば、長幼の序(年功序列)とか、男尊女卑とか、御先祖様がどうだとか、上座下座とか、家父長制(天皇制が典型)とか、未だにある。そしてそれは道徳と称され、確信的に(加害者に悪の自覚が無く)差別が行われている。
さらにそれがとりわけタチが悪いことに、儒教の教義を信奉している当人に儒教徒であることの自覚が無い。それで、「日本人は無宗教」という言説が定説になっている。
日中戦争や太平洋戦争をした原因にも、儒教がある。儒教は身分差別・階級差別の宗教なので、どちらが親分か、どちらが兄貴か、優劣(序列)がある。そうして、他者を蔑んだり、権威にひれ伏したりする。「大東亜共栄圏」という概念は、日本が東アジアの盟主(親分)たらんとしたものだ。
日本では、少なくとも戦時中までは公然とアイヌ人や沖縄人(「沖縄県民」)を差別してきたし、韓国人や中国人は未だに事実上の差別を受けている。戦前の政府は日本社会のシステムを押し付けて、創氏改名を行わせた。それは韓国人に対してだけではなく、アイヌ人にも行われた。侵略され植民地化されたからには、日本の論理を受け入れるしかなく、多くのアイヌ人は和人と同化せざるをえなくなった。
「国家神道」とかいうけれど、それも、神道の皮をかぶった儒教だ。天皇を家父長にした、身分差別、階級差別の宗教だ。
日本人は、正しい歴史認識をしていないし、戦争を反省もしていない。なにせ、儒教徒である自覚が無いのだから戦争の原因を認識していない。だから、謝罪をしても反省はしていない。しかも困ったことに、中国人や韓国人も儒教徒だから、問題の本質が解決する可能性がない。