サバカレーって知ってるか?」
「ああ?あの缶詰だろ?食べたことはないけど」
「うん。まぁそうなんだけど、そうじゃなくてはてなのほうなんだ」
「ごまかすなよ。お前この間、女子のパンティラインが透けて見えたの見ながら小声で"昇給な"って言ってたろ」
「は?おれはそんなこと言わねえよ。あからさまに誘ってて直球だなとか言ったんじゃねえのか?だいたいパンツが透けくらいで給料が上がるとかなんてインターネッツだよ」
「"しょうきゅうな"って言葉だけでこのシチュエーションから"昇給"とは普通ならんだろ。いいから話を続けるぞ」
それだけではない。この間の会議で使う資料を用意する時にこいつが後輩に"プリントアウトしとけよ"と言っている姿も抑えての上の話なのだ。
なにかまだ言い訳をしようとする姿を遮るように、おれは話を続けた。
「あのサバカレーっやつの、アイコンをちゃんと見たことがあるか?」
「だからサバカレーなんて知らねえよ!大体増田なんて生産性のないもの書いてどうすんだよ!」
それからしばらくの沈黙が場を覆った。いや、あくまでこちらは相手が口を開くのを待っていたにすぎないのだが。
ここまで来て話が中断してしまっては面白く無い。ほくそ笑む内心を噛み殺しながら言葉を続けた。
「いや、大した発見じゃないんだが、あのアカウントお盆になった途端にコメントがぱたっと減ったんだよ」
「まぁそれだけならそうなんだけど、ところが時を同じくしてもう一つのヘビロテアカウントも更新がぱたと減ってるんだよ」
「お盆だろ?はてなユーザーなんて基本仕事の合間にやってるようなやつらばかりなんじゃねえのか」
「それは確かにそうなんだけどな。そこであのアイコンが気になったってわけだ」
「腹話術人形が?たしかに最近じゃぁホラー映画でも滅多に見なくなったよな」
「そうなんだよ。単純に考えてあのアイコンをつかう必要性が今の世の中にはないんだよ」
「なんかのあこがれとかじゃねぇのか?それかどっかで拾ってきたとか」
「そう思って画像検索もかけてみたけどどうやらそうじゃないらしいんだ。それはつまり、あの写真は、このアイコンのために撮られたかもしれないってことだよ。」
「そしたらそういうパフォーマーか何か何じゃないのか?」
「たしかにその可能性は否定できないんだけどな。でもあのアイコンなんかおかしいんだ。比率というかスケール感と言うか」
結局何を話したいのかわからないままに、いつのまにか会話はデトックスウォーターの正体についてに取って代わっていた。
彼が言うにはデトックスしてるのは水に入れられた素材で、その毒を少量取り入れるレメディ的な水なのだという説得力に根負けしたところで今日は解散することになった。
ここで話を戻すと、常々頭をかすめていた疑問はあの腹話術人形が表す意味は誰かの代弁者、つまりもともとは単なるサブアカウントだったのではないかということなのだ。
それがこのお盆という季節になって、確信に変わるような出来事があったのだ。
あの腹話術人形は一体だれの言葉を代弁するために生まれたのだろうか。
皆の素敵な推理を期待している。
サバティカル そういえば、聖天使ジブリールはエロティカルと言っていた
サバカレー市ね