はてなキーワード: 位相語とは
この「ご面倒様」という言葉、少々古風な感じがあって丁寧で好きなんだけど、馴染みのない人には「誤った日本語」として認識されることがあるらしいと知った。
「「御面倒様で御座いますが」……この敬語絶対間違ってるだろ……」
「御面倒様、御迷惑様、山梨に限らずありますね。正しい用法とは思えませんが」
「面倒って人じゃないし。せいぜいご面倒ではございますが、でいいんじゃないかと。用法としておかしくないかね?」
日本国語大辞典では初出として1838年の人情本から「ハイこれは御面倒さまで」という例が挙げられている。既に現代と近い使い方である。
同じく日国の例で、幸田露伴が「御面倒様と悪慇懃の挨拶する」と書いている。
少なくとも最近出来たような言葉じゃないし、これを誤りと決めつけることには極めて抵抗がある。
人以外に様をつけるから変というなら、「ご苦労様」や「お世話様」もいかんということになる(そんなことはあるまいよ)。
日本人は日本語を知らないという教授の弁を、大学の講義で聞いた覚えがある。
日本語に対する無知に無自覚な人間が「間違った日本語」を排斥していけば、日本語語彙の歴史的重層性や多様性が損なわれていく。
母語話者だからと驕るなかれ、未知の語に出会ったら正誤を判断する前に、せめて日国を引くくらいの手間はかけてほしい。まあこれはただの愚痴ですが。
ところで「ご面倒様」は専ら電車やバスなど運輸業従事者によって使われている印象がある。今では一種の位相語として生き残っているんかな。