2023-10-19

もうすぐ子が生まれ

もうすぐ父親になる。この後13時に産院に行って立会い分娩をする。どう過ごしていても落ち着かない。家の中をルンバのごとく彷徨いては、水を飲み、彷徨いては茶を飲んでいるのだが、そわそわしても仕方ないので、いっそ黙って筆を取る。

人並みに不妊治療をしての妊娠であった。僕も妻も31歳だが、僕は精索静脈瘤による激弱精子の持ち主、妻は多嚢胞生卵巣による不定排卵卵巣の持ち主ということで、そんじょそこら性交子供ができるような様子じゃなかった。少しでも問題解決になればと、静脈瘤を結索してみたが、激弱精子改善の様子は見られず。かくして不妊治療ステップを華麗に駆け上がり、顕微受精受精卵を生成、3度の移植の末に妊娠したのが、今、妻のお腹にいる子となる。

結婚して2年半。妻と二人の生活ものすごく楽しい時間だった。これまで過ごした二人での日々が終わっていくことが寂しく、新しい生活の始まりをもう少し先延ばししたいような気持ちもある。一方で、生活の変化はとても自然に起こる。人は生まれ死んでいくし、育っていく。時間は等しく過ぎて、変わらないことなど何一つない。その流れの中で感じる寂しさは、これまでの生活が楽しかたことの反証であり、名残惜しいままに次の生活の幕が上がっていくことは、きっと幸せなんだろう。

破水をしたものの、お腹の子は元気に動いているようだ。無事に産声を上げられたらいい、元気に生まれてこられたらいい、健やかに育ったらいい、よく寝てよく食べる子だったらいい。人生の道すがら、世の中悪くないな、楽しい場所だなと思う瞬間がたくさんあったならいい。なんて、思う。少し前までは受精卵ができたことで喜んでいたのに、大層な願いをこめるようになってしまった。人間の欲深さを身に染みて感じる。

次に家に帰るころにはどんな気持ちになっているだろうか。楽しみ半分、不安半分で家をでる。

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