2023-05-03

コロッケモノマネ

 今、コロッケのものまねを練習している。試しにコロッケネット検索してみると「ものまね」という関連ワードが真っ先に出てくる。それほどものまねでおなじみなのであるコロッケといえばものまねネットはそう言っている。

 でも、考えてみるとコロッケのものまねをしている人はほとんどいない。コロッケ“を”まねる人という意味だ。ほとんどどころか、まったくいないと言ってもいい。だからこそチャンスなのだ。本当のものまねというのは、新しい対象チャレンジしなければならない。すでにものまねされているのをやっても「ものまねのものまね」になってしまう。その点、コロッケは誰もまねていない。コロッケのものまねをマスターすれば、次の宴会でもきっとウケることだろう。おまけにコロッケなら、ものまね番組でよくやる手法「ホンモノ登場」もできないことはないだろう。そういう意味で、宴会にぴったりなのである

 ものまね練習は、やはり対象を目の前にしてやるのがいい。対象のものベストだが、対象を映したものでもいい。ひたすら観察をし、感じ取ったありのままを受け入れ、自分の体になじませる。視線は、対象の姿と自分の姿が映った鏡との往復だ。両者を見比べ、何が同じで何が違うのかを見極め、自らにフィードバックする、その繰り返し。

 ふと考えてみれば、僕とコロッケとは共通点がいくつかある。臆面もなく言えば、人気があるってところだ。全国レベルの人気と、会社での人気という違いはあるけれど。僕が宴会ものまねをするのは、さらなる人気を得たいという気持ちからだ。

 別の共通点コロッケにはなんともいえない味がある。僕のものまねも味で勝負している、つもりだ。上手くないのは百も承知だが、素人しかできない趣きの芸とでも言ってもらえれば嬉しい。とにかく僕には味があるのだ。…自分で言っちゃなんだけど。

 そんな抽象的な共通点を探しても何の役にも立たないと思い至った。今、僕がやるべきなのはコロッケ自分とを見つめて、具体的な共通点を増やしていくこと。それも目に見える表層的なそれをだ。

 でも、本当のものまねというのは、対象内面までをも浮かび上がらせるという。内面模倣するにはどうすればいいのだろう。コロッケ内面なんて知らないし。いや、コロッケ内面ある意味知ってるかもしれない。しみじみと見たわけじゃないけれど。

 もう考え過ぎて何がなんだか分からなくなってきた。僕はものまねする予定のコロッケをパクッと食べた。もうすっかり冷めてしまっていた。

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