2022-03-28

あと少しで漏らすところだった

女。20代

その日は飼っている虫にあげる餌を採りに公園へ。

ひとけは少なく、近くに男性1人と駐車場で休憩している人が数人おり、たまに散歩の人が通りかかる程度。

開けた原っぱの中心で一心不乱に食草をムシっていると、腹痛と同時に便意に襲われた。

やばいと思った。

2日前に食べたネギトロに当たったのか、前日は5回ほど下痢をしていた。

当日の朝はなんともなかったので完全に油断していた。

公園公衆トイレは500メートル程先にある。

急ぎ足でトイレに向かう。

悪天候でいつもより冷たい風邪が腹痛をより誘発する。

何とかトイレに到着するも、手洗い場に石けんがない。

だめだ。

石けんのないトイレは使いたくない。

近くのコンビニまで車で5分。そこでしよう。

と、トイレを出ると男性と出くわした。草をむしっている時に近くにいた人だった。目が合ったあと男性男子便所の方へ歩いていった。

この人もトイレかな?でもこの公園トイレは石けんないぞと思った。

だがそんな事を考えている場合ではない。急いで駐車場に向かうも10歩歩いたところでギブアップ

石けんはないが、仕方がない。腹を決めてトイレに戻る。

手洗い場に戻って水は出るか確認していると、さっきの男性女子便所の方に戻って来るのが見えた。ここのトイレは壁に穴が空いたデザインなので、手洗い場から外が見える構造になっているのだ。

男性と壁越しに目が合う。

慌てたように再び男子便所の方に戻って行く男性

嫌な予感だ。

しかし奴はもう肛門の出口にスタンバしている。

無理だ。私はトイレの個室に入った。

カバンを置く場所を探していると、女子便所入口の方で物音がし、心臓が飛び跳ねる。

さっきの男か?盗撮か?もしそうなら今扉を開けていいものか?それともカメラがドアの隙間から出た時にカメラを奪い取るか?いやいや、ただの公園利用者かもしれない。

瞬時に色々なことを考えたが、奴が今にも肛門をぶち破って来そうだった。

パニックの末ここを出る決断をした。

そっと個室のドアを開けると、入口にはあの男が立っていた。片手にはスマホを持っている。また目が合った。固まる私。

男は目を合わせたまま立ち去って行った。

しばらく個室の入口で立ちすくむ。恐怖のせいで奴が少し引っ込んだ気がした。

急いで車に乗り、コンビニへと向かった。

公園を出る時、まだあの男がトイレの周りをうろうろしているのが見えた。

やはり盗撮魔だったのだろうか。

だとしたらやはりスマホが出てくるのを待った方が良かっただろうか。

変出者を見逃してしまった。

でもスマホを奪い取ったところでどうなる?個室内で警察通報したとして、警察が到着するまで安全に居られただろうか。

古い公衆トイレボロボロのドアを蹴破られない保証はない。

そんな事をぐるぐると考えているうちにコンビニに着いた。

無事、トイレは空いていた。

夫を連れて先程の公園に戻ると、もうあの男は居らず、小さい子どもを連れた家族が遊んでいた。

食草集めを見守っていた夫が毛虫に刺された。申し訳ない。

また新しい狩場を探さねば。

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