精神疾患は病識と治療意思を持つことが難しい。問題が表面化した段階にはだいたい病気であることが当たり前になっている。特に思春期青年期に深刻な事態になると健康である自分のイメージが本人にも周囲にも分からない。
つぎに、自己・医師・(いれば)援護者が全体像を理解するのが難しい。二次障害に翻弄されることはもちろん、二次障害とその病歴・治療を軽視するのも良くない。治療の全体像を描いて、今何をしているのか自覚的にならなければ、患者に漠然とした無力感を与え治療からの離脱を招く。
最後に、環境を変えるのが難しい。家族や学校・職場の扶助を陰に陽に前提とする社会で、これらがむしろ原因になっているケースが多く、対処の手段が少なく助けられづらい。助けられなくて当たり前だと本人も周囲も思っている。特に、心理的環境は表面的な情報からは実態が見えてこないので、患者本人との接しづらさも相まって無視・無理解が至るところで生じている。