発表が近くなると寝ないで勉強して、土日も家族に謝りながら原稿を書いて、それはいつか誰かの役に立ち、人を幸せにすると思ってた。
いや、自己実現のためにやってたのかなあ、結局お金とか環境とか、いつか良い仕事に転職するために必死だったという理由で動いていたかなあ。
とりあえず、目の前にある楽しそうなことに手を出しては新しい世界にときめいていたような気もする。単に若かったのかもしれない。
MBOでいい評価がもらえて振り返ってみると、勉強しなくてもボーナスは貰えるし、昇進は内部の仕事をどれだけやるかにかかってるし、頑張らなくても相応のお給料は入ってくるわけだ。
もちろん期待される役割について尽力するべきではあるけれど、大変な道を選ばなくても、できることをほんの少し背伸びしてこなすだけでも、生きてはいけるんだね。
有給休暇を娯楽に費やして、無理なことはしないで、すごいことはすごい人にやってもらうようにして。
研究とやらが趣味なんじゃないかと、自分が好きだからやってると思ってたけど、でもやり遂げたときの喜びとのコストが合わなくなったように感じた。
何でもかんでもボランティアできたのは20代だったからだろう。独立したいと思っていたけど、コロナで大組織の有難さをひしひし感じたし、当然ここも辞めると思っていたが変わってしまった。
自分には十分すぎる場所での定年までの約束を意識するようになってから、どうしたらいいのか分からなくなってしまった。テニュアなんてとるもんじゃないな。