夕方になり私が現場作業から戻ってきたところ、仕事場に隣接する独身寮で、20代後半の男性社員が部屋で倒れていたと聞いた。
私はその騒動をそこで初めて知ったが、その時まで気づかなかったのは、到着した救急車がサイレンを鳴らさずに帰ったからだと思う。
その社員は救急搬送されず、その場で死亡が確認されたようだった。
・・・のようだったと言うのも、私も出勤していた別の課の部長からそのことを聞いており、その部長も現場に居合わせたようではないからだ。詳細は来週に分かると思う。
部長と話していると、その社員は先週、私が現場作業で応援を頼んだ際に、手が空いているからと応援に来てくれた人だと分かった。
その場にいた同期は、つい昨日その社員に頼みごとをしたばかりだと言った。
彼の年を聞いたら、職場の同僚と結婚すると今週にLINEで連絡があった弟と同じ年齢だった。
彼の顔を、私は覚えていない。ぼんやりと顔が浮かんでくるぐらいだ。
仕事を終えた私は、その彼が倒れていた同じ独身寮の自分の部屋に帰った。そして今、ここにそのことを書いている。
私の部屋より数階下のどこかの部屋で、ひっそりと彼は亡くなった。
彼は関学出身で、土方ばかりのうちの会社にしては珍しく、頭のいい大学出だったと部長は話していた。
ご愁傷様