一番苦手な宿題だった
むしろその逆だ
父方の祖父母は双方とも自分が生まれる前に死んでおり、母方の祖父も自分が小さい頃に死んでいる
したがって母方の祖母の話を聞くことになるのだが、祖母は田舎の農家出身なのだ
戦争が始まって3年目だか4年目だかの年は豊作だったらしい
米だって食べられたのだというんだから、教科書や授業で習う戦争体験やら、メディアで流れるような悲惨で雑草を食べるしかないようなひもじさとは全くの無縁だ
そして祖母の家は裕福な家で、祖母もあの時代で女の身で大学を出ている
要するに、先生たちが求めているような凄惨で陰鬱な「悲劇」を祖母は一切経験していないのだ
出てくる戦争らしいエピソードといえば、男手を軍に取られて収穫が大変だったとか、その程度の話なのだ
それを新学期に発表する
先生たちからは「昔の暮らしじゃなくて戦争のお話が聞きたかったな〜」と言われる