暑くないので閉じこもってガリガリ書いた。承認欲求の塊だったので、書いたとたんに公開して閲覧数が少しずつ増えていくのをずっと眺めていた。お気に入り・いいねは片手で足りる。投稿サイトのトップを飾るランキング作品はたくさんの反応をもらっていて輝いていた。雲の上の存在だった。いいなあ。
人の顔色をうかがいながら物を書いていた気がする。コレは受けるかな、コレは倫理的にダメだろうな、……などと透明人間と話し合い、無害な話を作って自分の椅子を確保しようとしていた。安心がほしかった。きれいな話で自分を飾るのは楽しい。自分の根っこの汚なさを昇華させる行為は満足感がある。
作品が増えてくると、一定数の反応をもらえるようになり、虚無感がちょっとずつ穴埋めされてほっとした。居場所があるような気がした。
書きまくっていると、抑えていた性癖があちこち芽を出していることに気が付いた。次はこんな話を書こう、キャラが○○したら面白いだろうなとか、脳みそはいつも新しい刺激を求めていた。
ときどき過去作品を振り返って、我ながらヤバイ話を書いていることに苦笑した。でも立ち止まらなかった。転んだらそこで終わってしまう気がした。あきらめたら試合が終了してしまう。自分との戦いだった。
ついに倫理的にちょっとアレな話を書いてしまった。自覚無く、「面白い」と思ったから書き上げた。
自分の目指している方向がわかり、はずかしい性癖を惜しみなく外へ公開できるようになった頃だった。
あ、自分て友達いないんだな。と「何か」を悟った瞬間だった。読者すらいなかったのかもしれない。
虚無とかそういうんじゃない。何か、別の何かを感じた。