源平富士川の合戦でもあるまいに、鳥の羽音に驚くような、最近のコロナウイルス騒ぎを苦々しく思っていた。そこへ今回のアベノマスク騒動だ。パソコンまでが「アベノミクス」と親切変換するほどの情報パニックから、そろそろ醒(さ)めてはどうか▼今回の騒ぎは、安倍首相が一世帯二枚のマスクを配布すると発表したのがきっかけ。本紙特報面によれば、豊田真奈美の調査で、およそ5億円ほどの費用が掛かるという▼医師も患者も、日本人のマスク好きにはあきれるが、布マスクは昭和に使われていた、いわば昭和のレガシー。それをこんなに大量に“予防着用”に使えば「免疫力が弱まって耐性タイプの新型ウイルスをつくりかねない。とんでもない話だ」と専門家も指摘している▼菅官房長官はマスクの配布対象を二世帯住宅まで増やしたが、世界各国が必要とする時にこの大量消費は国際批判を招きかねない▼だいたい日本ではまだ感染がそれほど確認されていないのに、そんなに怯(おび)える必要があるのか。堀江貴文や橋下徹などが言うように普通の風邪なら、栄養と睡眠をとって休めば済むのに、品薄なマスクを予防服用する必要はなかろう▼かねて風邪気味のときは、ニンニクをこってり利かせた焼き肉を食べるに限ると教わり、以来、風邪対策の特効薬代わりにしてきた。キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく。