2020-02-29

生きているという実感

それが当たり前だと言うように毎日、7時半に家を出る。駐車場に停めた車に向かうまでに深呼吸を二度して空を見上げる。

そこに意味は無いけれど、生物として朝日の温もりを自然に求めているのかもしれない。

勤務先へと車を走らせている途中、ラジオクラシック音楽聴くジャズに似た旋律のせいで後でメロディーを思い出せた事がない。

から離れた場所にある、山に囲まれたこの街の車窓からは色褪せて錆び付いた看板工場コンビニと枯れた樹々と最近増えた東南アジアブラジルから労働者ばかりが視界に入ってくる。

子供の頃はこんなにも色の無い街だと思わなかったのに、気が付かなくて良いことばかり気がつくようになる。

ずっと住んでいる街だ。高校卒業して専門学校卒業するまでの二年間だけ山を越えた先にある街に住んだことがあるがそこもまた似たような景色だった。

日に日に色彩が無くなっていくこの感覚子供には理解できないだろう。

驚いたのが社員旅行で行った、ハワイと呼ばれる島だ。初めての海外で正直期待していなかったが目に飛び込んでくる原色エメラルドグリーンの海、白い波、風に揺れるヤシの木、青い空と少しの雲、どこまでも続く水平線に沈んでいくオレンジ色太陽はいつまで見ていても飽きることは無かった。

もし天国があるのならば、こんな場所であって欲しいと願う。

住んでいる惑星が一緒なのか疑いたくなるくらいこの街とあの島はあまりにも違う。

唯一似てるのなら空の景色ぐらいだろう、だから私は色褪せようの無い日の光や霧のかかった山々、冬の夜空に惹かれてしまうんだと思う。

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