かつて私が受験生だった頃、受けた某大学の英語の問題にこんなものが出た。
こういう問題は一見難問奇問の類だと思われるかもしれないが、英作文の問題としては悪くないと思う。要するに、
というわけだ。私が現役の頃に受けた大学なんて、英語の試験は長文読解と英作文しか出さないので有名だったのだけど、かつて大学で試験をする方に回っていた身として言うと、これだけで英語力もロジカルな力も丸裸にできる。それは間違いない。ただ採点は手間がかかるわけだが。
さて、今私は私塾を経営していて、今年某国立大学を受験する生徒を抱えている。この子はセンターでとんでもない高スコアを叩き出し、私立受験(滑り止めだがミッション系の結構高めの大学)はセンター利用で楽勝の筈だった。私立の結果が出る日になっても連絡がないので、授業に来たときにつかまえて聞いてみると、つまらなさそうに、
「え?私立ですか。受かりましたよ」
「そうか。まああのセンターの点数だったら……」
「ああ、僕、センター利用と一般受験とどっちも出してたんですけど、どちらも受かりました」
と、ここでニヤーっとしたのだった。
「難しかった?」
「どういうテーマだった」
彼は再びニヤーっとして、
「ハゲについて、でした」
問題作成者に対して興味をそそられるテーマ設定である。作成者がハゲなのか、逆にハゲ嫌いなのか、あるいは研究テーマとしてそういうことを扱っているのか(この生徒は社会科学系を志望している)。まあ、そういうところでストレスを晴らすものですよ、問題作成者ってのはね。ニヤーっとした生徒に、君のアカデミックなネタ第一号だな、と話したのだった。