日大の問題は、田中理事長の一元統治体制に根本的な原因がある。
しかし待て。
それならどうして、そのような独裁体制を成立させてしまったのだ?
その体制が完成しようとする間際に、これを批判した人たちもいたのだろう。それくらいの想像はできる。
しかし、そのような人たちが言論によって多数の支持を得て勢力を形成することができず敗北した。これもまた想像できてしまうのである。
戦前のドイツの例を思い浮かべると、ヒトラー率いるナチ党の独裁体制は、その言論によって民主的に多数の支持を得て、正規の手続きを踏まえて成立したのであった。
つまり、当時の体制成立に反対した教職員たちは言論によって敗北したのだ。
ならば、今の体制を打ち倒すのは、おなじく言論によってでなければならない。
知を司るはずの大学教授が、これほどまでに世論の追い風を受けてでなければ、体制に立ち向かえないとは悲しい限りである。
教職員組合の会見では、この機を逃せばまた敗北してしまうという危機感がひしひしと感じられた。
そこでは、報復人事を恐れる声がまだ職員の間にあることに触れていた(もちろんこれは世間向けのアピールの側面が多分にあるが)。
ここにきても報復人事を恐れるからこそ団結しようという発想に到らないとは、これは民主主義の敗北である。
軍部が台頭し、誰もそれを止めることができず、あれよあれよというまに戦争が始まり、アメリカに敗北した、かつての日本の姿を見る思いだ。
自分には権力に刃向かえるだけの力がないと思いこむ教員が、民主主義の何たるかを学生に教えられるとは思えない。
いま勝たなければ、いつ勝てるというのだ。
ハラキリ問答を軍部にぶつけた濱田国松は偉大だった。戦中にあっても民主主義はかろうじて首の皮一枚で繋がっていたと思う。 刺し違えててでも価値観を守るんだという気概が感じら...
民主主義って多数決でぶん殴るゲームだろ