皆さんも1度は経験があるだろう。おならの臭いがして、鼻を啜ったり、警告のつもりで咳払いをしたこと。
しかし、世の中には、おならを出したくもないのに体が勝手におならを排出してしまう病気がある。
「過敏性腸症候群ガス型」という病気だ。この病気を患った人は、出したくもないのにおならが大量に出て、酷い人は1分間に何十回も出るという人もいる。
更に酷くなると、「おなら漏れ」という症状が出てくる。おならが出ている自覚がないのに、勝手に臭いが漏れ出てしまう病気だ。
この病気を患った人は、学校、職場、電車内などで周りから「臭い人」と軽蔑され、いじめを受けたり、1日中咳払いをされて、自尊心が傷付いて、最終的に家から出られない状態になったりする。
これを見た貴方は、そんな悪臭を発する人は社会に出てこれなくて当然だと思っただろう。
しかしながら、当事者は、誰よりもこの病気を恨んでいるのだ。ガスが出るたびに心の中でごめんなさいごめんなさいと謝り、そのうち自分は社会に居てはいけないのだと悟り、精神を病む。
確かにそうだ。中には精神科に行って薬を処方してもらうことで完治する人もいる。
だが、大半はそこで治らない。逆に、医者からは「おならは出て当たり前」「おならが出るのはいいこと」「おなら漏れなんて医学では認められていない」「妄想だ」と言われ、医者を信用しなくなる人が少なからずいる。
中には「自臭症」という病気で実際は臭いを発していない人もいる。しかし、多くは実際おならが出て、その臭いに苦しんでいるのだ。
更に辛い現実は、家族からも理解を得られないということだ。家でもおならが出てしまう人は家族からも軽蔑され、しかしながら「おならは誰でも出る」と片付けられる。
逆に、家では緊張が緩み、おならが出ないタイプの人もいる。その人達はもれなく、「妄想だ」と言われ、取り合ってもらえない。これ程辛いことがあろうか。職場や学校では臭いと軽蔑され、家ではそれを「妄想だ」と言われ、その辛ささえ取り合ってもらえない。
理解してもらわなくていい。臭いと思っていい。ただ、知って欲しい。
そして、この病気の人達が社会で苦しまず生きていける方法を作って欲しい。
それがこの病気を患う私の願いだ。