今回は少年ジャンプ+
本作の見所は、登場人物たちの紡ぐ芸術作品の奇抜さにあることは明白だと思う。
ただ精彩ではあっても精細さに欠ける印象。
だから、分解して評価するとつまらなくなったり、粗ばかりが気になりやすい。
コマ割とか、構図とか。
これは「わざわざ声に出して説明する」っていうギャグだと思うけれども、説明しなくてもいいことを説明するからには、その内容が面白い必要があると思うんだよね。
しかも、ギャグ以外の場面でも説明口調を多用しているから効果が希薄になって、全体的に平坦な印象を与える。
加虐心という偏愛性を持つ主人公の苦悩を、後半で判明する更なる事実によってより露わにしようという試みが興味深い。
テーマがより色濃くなるし、構成上でも絵的に盛り上がる場面を入れられる。
ただ、些かごちゃごちゃしている感じはする。
前半の主人公の苦悩を描きながら、主要人物の様子も丹念に描き、更には後半に明らかになる事実のための伏線をはるという構成はしんどい。
全容が掴めない事はサスペンスとしては面白みもあるけれども、掴み所すらないとどういう気持ちで読めばいいから分からないから困る。