O先輩と名前を思い出せない後輩が何か話し込んでいる場面に遭遇した。
僕も呼び止められて聞くところでは、近頃O先輩は、会社の中長期の事業の見通しを検討するプロジェクトに関わるうちに、事業の継続に真剣に危機感を持つに至り、対策を講じるためにその分野に影響力を持つ某部署に異動するか、そうでなくとも提言を影響力のある人物に直接行いたいとのこと。
O先輩は、その某部署に関わりの深い偉い人に陰ながら目をかけられていることを最近知ったので、その人に周せんしてもらって目的を遂げたいが、特に接点があるわけでもないので、その偉い人に辿り着くよすがとして誰か某部署に知り合いがいないかと尋ねられた。
そういえば、僕の同期のYがその某部署にいて、正にO先輩が働き掛けようとしている領域の業務を担当していることを思い出した。
心当たりがあります、とだけ返事をした。
秘密の出入り口からそのビルに入ろうとする同期のYを見つけた僕は、O先輩の話を伝えるべく彼に声をかけた。
しかし話始めるや「そのことなら知ってる」と遮られ、Yが指差した先にはO先輩の話を一緒に聞いた後輩が、はにかんだ表情で「どうも」と立っていた。
どうやらYは後輩から先に話を聞いているらしく、しかもどんな伝わりかたをしたのか、胡散臭い話だと思われているようだ。
「参ったな」と頭を抱えるそばから「帰れ帰れ」と追い立てられてしまった。
会社に戻った僕は、そういえば某部署に自分が在籍していた当時、後輩のSが件の業務を担当していたのではなかったかと思い出した。
S自身も既に某部署を離れているので、どうだろうかと思ったが、取り敢えず連絡をとってみようと電話に手を伸ばしたら、Yから丁度電話がかかってきた。
「お前からは用件も聞いていなかったから、とりあえず話を聞く」という。
ありがたい、とO先輩の抱く問題意識と計画について説明して、詳しくは本人と会ってくれと頼んだところ、了承された。
では会う日程を決めようか、となったところで目が醒めた。