2017-05-21

全然+肯定形」の含意

http://anond.hatelabo.jp/20170520030848

例1:良い

否定形にする→良くない

強調する→全然良くない ・・・(1)

肯定形で言い換える→全然ダメである ・・・(2)

例2:ダメである

否定形にする→ダメじゃない

強調する→全然ダメじゃない ・・・(3)

肯定形で言い換える→全然良い ・・・(4)

この中で自然に受け入れられているのは(1)〜(3)で、(4)は誤用とされることが多いだろう。

しかし、文法的にわければ(1)と(3)が「全然+否定形」であり、(2)と(4)が「全然+肯定形」となる。

全然+肯定形は文法的誤用」というのが誤った認識であることは(2)がもともと通用していることからわかる。語が否定的意味を持っていれば肯定形で用いることはこれまでもあった。

誤用とされうる(4)は、肯定的意味を持つ語を肯定形で用いた場合である

これは否定的意味を持つ語を否定して強調したいときに現れてくる表現で、想定しうる対立意見否定することで自身肯定的意見を強調するというニュアンスが生じる。

まり、「全然良い」は、

あなたダメじゃないか心配になるかもしれないけどそんなこと考える必要は全くない」

とか、

「誰かがそれはダメだというかも知れないけれど私の意見としては全く問題ないとおもう」

という含意がある。

「この歌手私は全然好きだよ」

これもまた、

世間的にはあんまり流行りそうにないタイプかもしれないけれど私は好きだと感じる」

であったり、

あなたはこの歌手が私のタイプではないと考えていたのかもしれないが実際のところそんなことは全くない」

という含意がある。

(3)よりも(4)の方が実は強調度合いが大きく感じられるという見方もある。

全然嫌いじゃない」よりも「全然好き」と言った方がより好きであることを表現できているように感じられる場合が多いのではないか。これは肯定的意味を持つ語を肯定形で使うときの強さや、(4)が用いられる頻度の少ない表現であることから用いたときにより強さを持つといった理由があるかもしれない。

似たような表現として「普通に良い」「普通に好き」という表現もまた、否定すべき対立意見が想定されているようなニュアンスがあるように思われる。

なお明治期にも用いられていたという「全然+肯定形」が上記のような含意があるのか、それとももっとシンプルな強調でしかなかったのかはわからない。

記事への反応 -
  • 全然良い。全然好き。 など「全然~でない」ではない肯定形のパターンをよく見かけるようになった。 文法的に誤りだとされるけど、もうこの流れでは辞書に載る日も近いんではないか...

    • http://anond.hatelabo.jp/20170520030848 例1:良い 否定形にする→良くない 強調する→全然良くない ・・・(1) 肯定形で言い換える→全然ダメである ・・・(2) 例2:ダメである 否定形にする→...

    • 増田に書き込むならはてなブックマークくらい検索してから投稿しろや(怒)! はてなブックマーク - なぜ広まった? 「『全然いい』は誤用」という迷信  :日本経済新聞 http://b...

    • あとに打消や否定表現を伴って用いる語だが、俗に、「非常に」「とても」の意で用いられることがある。   明治時代には夏目漱石も「 全然 」を「 全面的に 」「 完全に 」の...

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