スティーブン・キングの11/22/63という小説がある。
主人公はケネディ暗殺の前にある殺人事件を阻止しようとするが、時間遡行モノのお約束で偶発的な出来事に阻まれて上手くいかない。
シュタインズ・ゲートで言えば、「何をやってもまゆりが死んでしまう」状態である。
主人公は「過去に押し戻される」と表現しているが、この小説では幼女が地下鉄の駅に突き落としたり、急に心臓麻痺になることはない。
敵は腹痛である。
しかし、主人公は「ケツから灰色の水を垂れ流していても」、犯行現場にいって犯行を止めなければならない。
主人公はドラッグストアに駆け込み、買ったのはカオペクテイト(止瀉薬)と、尿もれパンツ。
嫌味なドラッグストアの店主に便所を貸してもらえなかった主人公が、向かいの居酒屋に駆け込む場面など涙なしに読むことはできない。
腹痛の描写たるや、キングはお腹痛い勢に違いないと確信するほどのリアリティで、思わず肛門がキュっとする。
これからは、腹痛のことを「過去に押し戻される」と表現しようと思う。