どうも原因は幼少期のしつけ方が乱暴すぎた事に端を発しているとか。
確かにその頃会社は結構忙しく、そんな時期に結婚して子供を生むなんて随分と体力があるなあと思ったものだ。
まあ当時は今よりも結婚への圧力が強かったから自分以外の大多数は大変な中なんとか結婚して子供を生んでいたものだけど。
忙しい中で子供を育てようとするとどうしてもどこかで無理が生じるらしく、同僚が子供のことを疎ましく思っているような発言は度々聞いていた。
とはいえそれも生まれて10年もしないうちに無くなり、時折そういえば子供はどうしているのかと聞くと大人しくて扱いやすく育ってくれて助かっていると返ってくるようになった。
聞く所によるとやたらと自分への自信がなく自暴自棄になりがちで将来の話を嫌がり、目先の楽しさやアルコールにすぐに身を任せる人間に育っているのだそうだ。
ふと思ったのだが、それもこれも最初に進んだ道が間違っていたんじゃないだろうか。
忙しいのに無理して子供を作る、そして構ってやるのが面倒になり威圧的な態度で消極的な人間に調教する、それが巡り巡って最後は自尊心の失われた引きこもりが誕生し、子供なんて産むんじゃなかったと後悔する。
どうも自分には同僚の子育ての仕方がある種の借金まみれの物だったようにしか思えないのだ。
とりあえず今結婚しろという外圧から逃れる、とりえあえず今子供を産めという要望に応える、とりあえず今手のかからない子供にする、そういう事ばかり考えて将来何が怒るのかを全く考えていなかったようにしか思えない。
そしてそのツケが積もり積もり雪だるまが出来上がって同僚は日々苦しんでいる。
あの忙しい日々の中、結婚を諦めた自分の選択が結果的に正しくなる日が来るなんて。
自分には面倒な脛かじりの子供はいないので安心して老後を過ごせる。
最高だ。