昔やっていたネトゲでは、回復や支援といった職業がちやほやされていた。
どこでもそうだろうが、ネトゲプレイヤーというのは概して戦闘狂である。
よって、彼らはゲームシステム上必須なくせして、いつも不足する運命にある。
なので、それはもうちやほやされた。パーティを組むリーダーが、彼らの機嫌を損ねないよう、
誘い文句にも気をつけたほどである。実際、パーティには多すぎて逆にうざいほど誘いが来たし、
自分がやらされるよりはマシだからと、大した装備がなくてもコンテンツに誘ってもらえた。
もっとも、ちやほやされるのは誘われる時だけで、戦闘が始まった途端にこき使われるわけだが。
ところが、そのネトゲが末期になって、レベル上げがアホみたいに緩和されると、状況が一変する。
カンストレベルの支援職がそこら中にあふれると同時に、彼らの扱いはずいぶん適当になってしまった。
逆に、アタッカーは増長し始めた。中には、あいつら俺が苦労して取った装備に寄生してやがる、
という目を堂々と向けるものまで現れた。
さて、いい加減リアルの話に戻ろう。
この世界でもいろんなものが不足しており、故に優遇してなり手を増やそうという試みがあるが、
少子化にしても僻地の医師にしても田舎の定住者にしても、日本ではなかなかうまく行っていない。
もちろん、全く無駄ということはないだろうし、どれもまだまだ徹底する余地がある。
だが、それらが目立った成果を上げられないのは、内容が悪いというよりも、
この流れはいつまでも続かない、と思われているところに問題があるような気がする。
「少数」「不足」という冠がなくなれば、優遇策もすぐさま取り上げられるのではないかと。
そもそも、出生数を政府の管理下に置く、という点では、中国の一人っ子政策も大した違いはない。
そして、あっちはもう撤廃が決まっている。
子供が少ないのだから優遇すべき、という考えは、逆に多ければ邪険にすべき、という考えにも通じている。
彼らはわかっているのかもしれない。その手に乗ればいつか手の平返されると。
個人感では > 人様の支援をするために異世界に降り立つプレイヤーは少ない。 という心理と > 子供の世話をするために人生を生きている若者は少ない という心理はかなり類似し...