中3の頃クラスの女子には所謂スクールカーストと呼ばれるようなグループが自然と出来ていた。行動的で中心的なグループ、ワナビー的なグループ、ヤンキーっぽいグループ、オタク的なグループ、大人しい目立たないグループ、ゆるくだが、なんとなくそんな感じ。グループ間を行き来する子もいればお互い全くしゃべらない人達もいる。
ある日理科室での授業終了間際、ある班から(これは授業のため強制的に組まれたグループ)軽いざわめきが起こった。そちらにちらりと目をやると立ち上がった女子の椅子に赤黒い滲みが広がっている。呆然と立ち尽くすのは普段目立たないグループとオタクグループを行き来するような地味な女の子だった。そのちょっとダサい服装(私服校でした)のお尻には大量の血が。
ざわめきの波がひろがりかけたその一瞬、まずは近くにいた女性数人がその子の周りにササッと円陣を組んで周りの視線を隠した。その間に自分で羽織っていたカーディガンを腰に巻いてあげる子。中心的な女の子は「ほら、もう授業終わり」とざわめきの視線を自分の方に集めてそのまま皆の退室を促す、女子達はいつの間にかその子の周りに何重もの壁を作り男子の視線を塞いでいる。更に察した女子達が敢えて無関心を装いながら教室の外に男子を出す。この女子達のほとんどが立ち尽くす女の子とは会話もしたことも無かったはずなのに。
その後その子が半日欠席したくらいで、クラスの中は以前と全く変わらない雰囲気だった。気付いていたのかいなかったのかその話をするような男子も一人もいなかったと思う。そのまま卒業までグループは以前のまま、その子も他のグループの女子達とはしゃべらないまま、そのままの日常が続いた。