夏草の匂いがする。
蒸し暑さが草木の青臭さを引き立たせる時期がやってきた。
この時期になると、10年前のあることを思い出す。
当時大学のテニサーに所属していたおれは、この時期は田舎に合宿へ行っていた。
昼は適当に練習、夜はアホな飲み会を繰り返すゆるい合宿である。
最終日の飲み会ともなると、コールの飛び交うバカ騒ぎはヒートアップし、
白目むいてバッタリ倒れる奴。ゲロまみれのやつ。トイレで失禁したまま寝る奴などが続出した。
そんななか、おれと友人は2階のベランダでタバコをふかして酔いをさましていた。
くだらないことを話していると、なにやらすぐ外に人の気配がする。
なんだろう、友人と目下の暗い茂みに目を凝らすと、男女がまぐわっているようである。
青姦だ。
友人と静かに興奮して観察を続けると、どうやらその男女はサークルの生意気な後輩とひとつ年上のマドンナであるらしかった。
ああ、あの美人で明るいマドンナ先輩が小癪なガキにはめられている。
おれたちはタバコが短くなるのも忘れ、はがゆくも黙って行為を見つめるしかなかった。
しかし、友人はおもむろに立ち上がり、ズボンを下げてフルチン状態になった。
そしてちんこに手を添え、放尿をはじめた。さっきまでガブガブ飲んでいた酒による水分が勢いよく放たれ、大量に青姦カップルに降り注ぐ。
気持ちよさそうな友人の顔は、お前もしろと促していた。無論応えた。
二人の男から放出された小便は、外灯の光を受けきらきらと輝き、あっけにとられた男女をピンポイントに直撃し続けていた。
おれたちは、小便の出きらないうちに部屋に駆け戻り、たまらず爆笑した。痛快とはこのことだった。