インターネットが拡張した概念と電子によって構成されたバーチャルと
ネットだって人間によって構成されたリアルだと言う人はいるかもしれない。
でも、あの時は違った。
バーチャルのケーブルの先に繋がった人間もまたバーチャルだった。
この感じを説明するのは難しい。
今のようにストリームが思考を運ばなかった時代。僕らのやりとする情報は、いつも痕跡だった。
物語の登場人物達が現実にいないことが当たり前なように、リアルとバーチャルは分断されてることが当たり前だった。
リアルな人間もいた。彼らは既成概念に縛れることを望みダサかった。
一部のダサい人間の愚行だと思っていたが、インターネットはそれを許さなかった。
ある時なんてあったのだろうか、気が付けばネットはリアルの拡張現実でしか無かった。
僕が幻滅した既成概念にとらわれたダサいリアル達に、インターネットの世界は埋め尽くされた。
それどころか、バーチャルの幻想で醜く拡張された醜悪な臭いをまき散らすリアルだらけになった。
そんな醜悪になったインターネットでも、常に対流しないと吐き気がするストリームの中にでも、バーチャル時代の名残はあった。
それを辿ると、あの時の幻想の残滓がみつかる。そして懐かしくなる。幻想はまだあるだと信じたくなる。
でも、そこれこそ幻想だった。別にアナルセックスだからじゃない。
かつて電子の妖精と呼ばれたそれは、タンブラーで尻画像を収集するマシンとなりながらも、幻想のアーカイブになると信じていた。
だが、違っていた。それは尻画像じゃなかった。画像にはうつらないケツの穴だった。
そのケツの穴はブラックホールのように僕らの幻想を飲み込んでいた。
それでもブラックホールは座標となるだろう。