2014-03-31

例外がよりによって唯一愛した人だった

自由に生きたい。その為には金がいる。務めていた会社を辞めたのは今から17年も前の事だ。

当時本気で付き合っていた彼女がいたが、自分が納得できるだけの収入を得るまでには相当な時間を要すると思ったのでいつか別れなきゃと思っていた。

僕の夢と共に一緒に苦労させるわけにはいかないという理由だ。

そして、成功を手にした時を想像するとその時に今の彼女をずっと愛し続ける自信がなかった。きっと僕には今後もっといい女が現れる。正直そう思ってた。

彼女に対しては何の不満もなかった、いやむしろこんな出来た彼女は僕にはもったいないくらいだった。

からこそ彼女の将来を思って僕から身を引いた。

あれからかなりの時間が流れ、相変わらずいい年して結婚もせず、いまだ夢も叶えることなく平均以下の生活をしている。

ただ、女には不自由しなかった。不自由どころか人が羨むほど多くの美しい女性達と恋愛してきた。

けれど、本気で好きになったのはあれから一度もなかった。今までずっと自分の置かれた状況では結婚なんて無理なので最初から僕の中では別れることが前提のお付き合いだった。

別れる時のショックをなくすためにあまり二人の思い出は作らないように心がけた。だから喧嘩なんてほとんどしたことがない。喧嘩もあとになれば立派な思い出に変わるからだ。

そんな恋愛を繰り返しているせいで今では付き合ったり、別れたりする時ですら感情上下しなくなった。

いい女とセックスするのが最終目的で金をいっぱい稼ぎたかったはずなのに、稼いでなくても人がうらやむほどのいい女と付き合ってきた。

だけど、まったく嬉しいとも思わないし、別れても悲しみすら感じない。

そんな僕だったが、あの時本気で愛した女に17年ぶりに会うことになった。

結婚して幸せ暮らしていて、あの時僕と別れたことが本当に良かったと言ってもらえればこれほど嬉しいことは無い。

彼女幸せを願って別れたのだから

でも、一目見て僕はすぐにわかったよ。

彼女幸せじゃないって。

口では数年前に結婚して幸せにしてると言ってるけどそうじゃない。

女という生き物は新しく男が出来たらきれいさっぱり過去を清算できる。男のように未練なんて残さない。

付き合っていた事実すらなかったかの如く過去の男の存在無視される。僕の観測範囲でもほぼ例外なく去った女はみなそうだった。

聞けば17年ぶりにあった彼女は僕と別れた後、本当に色々あって苦労したようだ。

いっきり抱きしめて「ごめん!」って言ってあげたかった。

適当に付き合ってた女にならたやすいことだが、本当に大切な人だからそんな事できなかった。

僕にはまだ「ごめん」と言える資格すらないんだ・・・・・ホント、ごめんよ。

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