衛生帽にマスク、作業場に入る前にはきっちり手荒いし、粘着コロコロで頭のてっぺんからつま先まで付着してるかもしれない髪の毛などのゴミをとる。
そしていったんエアシャワー室の中で数十秒ほど四方八方から強風を浴びせられ、それが済んでやっと作業場の扉が自動解錠される、といった具合。
しかもオイラたちのような外部業者は色々作業場を出たり入ったりせざるを得ないので、その度に毎回これをやらなければならない。
それでも慣れてくると、それが当たり前になってくるのでそんなに苦でもなくなってきていたのではあった。が。しかし。
この前、冷凍食品加工工場で食品に異物を混入させたという事件があった。
それを切っ掛けにオイラたちが仕事する食品工場ではどうなったかというと、作業場内に持ち込むモノについてもの凄くチェックが厳しくなったのである。
以前から不必要なものの持ち込みは、財布や携帯電話等を含め、特別な許可のない限り原則禁止ではあったが、それがリスト作成を求められるようになった。
そして、オイラたちは複数人数で作業場に入るため、個々人ごとの私物リストを入場前にリスト表を記述し、責任者が確実にそれらが作業場内に持ち込まれない事を全員について確認した上でないと作業場内には入れなくなったのである。
その上、必要上やむを得ず出入りする時も毎回、何を持ち込むのか、あるいは何を持ち出すのか、毎回チェックリストを書かなければならなくなった。
めんどくさい事この上ない。
誰かが出入りする事になる度に責任者は自分の作業を中断して、その出入りする人に付き添わなければならないのである。
仕事だから仕方ないが、当たり前の事だけどもこのめんどくささに対する対価は一切支払われない。
工場の担当者も一応「めんどくさくなって済みませんねぇ、でも決まった事なんで」とは言ってくれたが、たった一人の馬鹿がいなければこんな事にはならなかったに違いないのである。
多分、たった一人、あるいはごく少数の人間のせいで、めんどくさくなった事は他にもかなりあると思う。
しかし単に、チェックリストの作業が増えたというだけではないのだ。
チェックリストを間違えたらどうなるか。少なくともキツいお叱りを受けるのである。
場合によっては、それだけで信用をある程度低下させる。
そしてそういう事があれば、自社に報告する義務を生ずる。
で、上司などからも叱責を受け、再発防止報告書の提出さえあり得るだろう。
さらに、そんな事まで考えなければならないという仕事上のプレッシャー、ストレスも増える。
歴史ある企業だと、そういう意味不明なルールが沢山ある。
そしていらんストレスを溜め込んだやつがまた馬鹿をやらかすのか
食べ物屋のバイトとか、可能性で言えばもっとずっと高い所はあるし、実際バカッター事件で問題は幾つもあったのにほぼスルーされたのは、農薬入れた人がいなかったからか…