2014-02-09

自分のことを腐ってるなんて言うな

おまえらのかーちゃんがお腹を痛めて産んで育てたおまえらを、おまえらのかーちゃんは誰よりも大切にしてきたはずだ。

俺はオタクだがBL趣味はわからないし、理系からおまえらがハマってるような小説は読まないし、真面目系長身メガネだが、時々pixivとかに流れてくる「理想の彼氏」みたいなイケてる外見じゃないからおまえら萌え対象には入らないだろうけどさ。

俺にもかーちゃんがいる。おまえらと同じように。

おまえらのかーちゃんと同じように、俺のかーちゃんも毎日弁当を作ってくれた。

俺のシャツアイロンを当ててくれた。

俺が塾に通えるように、每日パートを頑張って、お金を稼いでくれた。

俺が志望の大学に落ちた時には、「あんたは勉強をする楽しみがわかったんでしょう。ならそれでいいんだよ」と言ってくれた。

俺が滑り止めの大学で、落ちぶれて每日麻雀やってて留年した時には、「何よりまず、楽しむことが重要だよ」と言って許してくれた。

俺が彼女をはらませて、必死中絶させるための金を稼いで、その後彼女喧嘩別れして、泣いて実家に帰った時には、何も言わずに温かい味噌汁ハンバーグを作ってくれた。

だけどある日、俺が「俺なんて生まれて来なければよかった」

って言った時には、すげえ張り手をくれた。

ビリビリ痛くて、ほおの赤い跡が次の日まで残っていた。

かーちゃんは張り手かました後、いじけて朝まで泣いていた。

泣き声が二階まで聞こえてきた。

俺は部屋に引きこもって、しばらく口を利かなかった。

それからまもなく、かーちゃんは死んだ。

ずっと病気だったらしい。俺は気が付かなかった。

「あんたには、あんたのことを誇りに思って欲しいんだよ」

病床でかーちゃんはそう言っていた。

俺は照れくさくて、「そんなこと言ってないで、早く元気になってくれよ。いくらでも親孝行するからさw」

なんて言ってた。

でも呆気無く、かーちゃんは死んだ。

かーちゃんがいなくなった後、俺は、人の親になった。

少しだけど気分が晴れて、ささやかだけれど家族と、幸せな每日を過ごしている。

俺はかーちゃんの気持ちが、なんとなく分かるようになった。

かーちゃんに言うべきだったことがある。でももう言えない。決して言えない。

おまえら、俺のことをいくらだって罵ってくれて構わない、バカにしてくれて構わない。

から自分のことを腐ってるなんていうな!

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