2013-09-23

池田信夫氏のための労働契約法入門

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51872614.html

解雇が禁止されている、正社員既得権を守るとかいろいろ書かれていますが、ここでそもそも正社員解雇についての法律を見てみましょう。

解雇については労働契約法十六条で定められています

第十六条

解雇は、客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_housei.nsf/html/housei/16820071205128.htm


こういう実に当たり前のことしか書いてありません。

解雇に関する法律アメリカでもドイツでも日本でもさして変わりません。日本が特別正社員を守っているというわけではありません。

ここからさら解雇をしやすくするというのは、客観的合理的な理由を欠いても社会通念上相当でなくても解雇ができるようにする、ということです。

ではなぜ日本正社員解雇しにくいと言われるのでしょう。

欧米と大きく違うのは、雇用時の契約です。

欧米ではある仕事に対してあなたはこれができますか?それではこれをやってくださいという形で雇用します。いわゆる職種別採用ジョブ型正社員です。

仕事に対しての契約ですので、その仕事必要なくなれば解雇合理的な理由があります整理解雇というのはどの国でも一番正当性がある解雇なのです。

ところが日本の多くの正社員雇用契約時にそういった決めごとをしていません。会社の求める仕事を何でもする、異動もする、まさに会社就職するという形で雇用されます

そういった契約場合、ある仕事必要なくなったからといってそれだけでは解雇の正当な理由にはなりません。

ですから日本正社員解雇しにくいのは法律の問題ではなく、雇用側の問題です。

それを法律を変えて解雇をしやすくするというのがおかしな話なのです。解雇やすくしたいなら企業雇用の形を変えるべきです。

池田信夫氏の書いている「だったら解雇をできなくすればどうなるか書いてやろう」というのは議論がズレた上の極論です。

なお、表題池田信夫氏の書法に従いました。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん