2013-05-20

院卒で就職したが,企業における「分析」が不満だ

工学系の院でドクターをやったが,挫折して企業就職した。大手小売り系の会社で「ビッグデータ(笑)分析をやっているが,いろいろと不満である

第1に,社内での過去分析の蓄積がない。分析は,会議などの意思決定の場にあわせて実施されるが,その場限りのものである過去分析結果が参照されることはない。自分過去におこなわれた分析結果を参照しようにも,その方法が実質上ない。

第2に,それゆえ,分析は散発的におこなわれ,恣意的に活用される。自分分析スキルが(運良く)社内の実力者に目に留まったとする。彼はこう言う。「今度の経営会議で,このような主張をしたいのだが,そのために,このようなデータは作れるだろうか?」。彼が望むデータを得る事ができれば,私の分析結果は,晴れて経営会議トップマネージメントに披露される。そして,私は,次回の経営会議でも,彼に分析を依頼されるであろう。しかし,仮に私の分析結果が彼の望むものでなかった場合は,どうなるか。彼に対立する立場のもの引用されるのならばよい。私のデータが社内で論争を引き起こし,そして,社内の意思決定を正しい方向にみちびく事になるからだ。しかし,そうはならない。私のデータは単に黙殺される。私は自分自身の昇進のことを考え,自分データを,彼に都合の良いものにどの程度加工するか(ひどい場合捏造するか)判断を迫られる事になる。

第3に,1と2のような状況にもとづいた過去の「分析」に対する不信感により,社内で分析に対する信頼感がひどく低い。売り上げ・利益在庫といったソリッドな数字はKPIとして共有されているが,それ以外の数値は無視される。外部コンサルを含めた分析者は,実力者におもねる茶坊主として軽視され,出世をするのは,営業で目立った数字を上げた者ばかりである分析にひつような,情報の共有に必要投資はなされない(1につながる)。図書館などない。白書や外部のシンクタンクが発行したデータの購入もままならない。そのような状況においては,毅然として,自分の信じる分析をおこない続けるのも困難である

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