有給消化せよと人事が五月蠅いので、なんの用事もないのに平日休みをとらされたんだがやることがない。
やることがないので朝から朝飯ついでに駅前にふらっと行ってみたら
ほほうこれが例の開店前のパチ屋の行列というやつか、と興味をそそられ、行列に加わってみた。
パチ屋には入ったことがないし銭を溝に捨てるこの手の遊びにはこれっぽっちも興味ないのだが
せっせとパチ屋に銭を運んでいる彼らはいったいどんな人間なのか、という悪趣味な方面の興味はあった。
いろいろな人たちがいた。
明らかにここ数年は働いていないであろう、よれよれの部屋着同然のだらしない風体のおじさん
一見普通の主婦のようだが林真須美や引越しおばさんのような、ある種のイっちゃってる感のある眼をしたおばさん
単位をいっぱい落としていてそれをむしろ誇らしく思っていそうな、不良大学生ふうの若い青年
キメキメの巻髪とメイクでキャバ嬢みたいに着飾った、露出度の高いアラサーお姉さん
かと思えば、血の気の失せたすっぴんに、ぼさぼさの髪をひとつくくりにした、若い娘
なぜか彼らは一様にイライラしていて、今にも舌打ちしはじめそうな鬱屈した表情で並んでいた。
多分彼らは、おれのような悪趣味な奴らから「あ、開店前からパチ屋に並んでいる、底辺の人たちだ。」
という好奇の目で見つめられることが多くて、その視線に対して
ワイは見せモンちゃうぞ、何見とんじゃい、なんぼのもんじゃい、という反抗心あるがゆえに、あのような仏頂面になるのだろう。
みなさんと一緒に平日の朝っぱらからパチ屋に並んでいるわたしは、無職ではありません。
一度も博打に金を投じたことはなく、そう多くはありませんが、25歳にして貯金は500万あります。
みなさんとは少し違う生き方をしておりますが、今こうしてみなさんの行列にご一緒しております。
どうです。ちゃんと溶け込めていますでしょうか。